「まづ、水泳場には大会がありました。」(その4)
本シリーズも今回が最後です。
繰り返しになりますが、
(でも、本当にお勧めなので)
このシリーズは、先週実施した検定会員
限定のオンラインサロン
「篠研サロン-検定対策部」
で行ったものです。
とてもためになりますので、いいなと思っ
たら、ぜひ通信講座にご入会くださいね。
で、映画ウォーターボーイズのオープニン
グの3分間の内容を書いた、
韓国人の男子学生(初中級レベル)の作文の
冒頭の一文目がこちら。
「まづ、水泳場には大会がありました。」
このうち、今回は格助詞「に」について
考えてみます。
これまでの添削した内容を反映させると、
「まず、高校に水泳大会がありました。」
となります。
この文、正しくは、
「まず、高校で水泳大会がありました。」
とすべきですね。
では、なぜ学習者は「で」ではなく「に」
を使ってしまったのでしょうか。
その原因は「ありました」にあります。
実は、この「あります」は初級で学習する
のですが、その際、
「~に~があります」
という文型で勉強するのです。
例えば、
「机の上に本があります。」
といった例文ですね。
学習者の頭の中には、この文型がしっ
かり沁み込んでいることから、
今回のような誤用をしてしまったと考え
られるわけです。
では、どうして「本があります」の時は
「机の上《に》」で、
「水泳大会がありました」の時は、
「高校《で》」なのでしょうか。
そもそも、場所を表す格助詞「に」と
「で」の使い分けについては、
以下のようなルールがあることが知られ
ています。
存在場所を示すときは「に」
活動場所を示すときは「で」
動詞「あります」はいかにも存在場所を
表すので、通常「に」をとるわけですね。
ならば、なおのこと「水泳大会がありま
した」の時は、「高校《で》」なのか。
原因は、やはり「ありました」にありま
す。
この場合の「ありました」は「机の上に~」
例文の「あります」のような「存在します」
という意味ではなく、
「開かれました/開催されました」
という意味なんですね。
・水泳大会がありました(=開かれました)。
つまり、動作を表すわけです。
だから、「で」をとるのです。
この「~で~があります」という文型は、
当然のことながら、初級で勉強する
・机の上に本があります。
の後の初中級で勉強するのがベストタイミング。
なので、この学習者が今回のような誤用を
犯していまうのは、当然と言えば当然で
あるし、
「~で~があります」文型を学ぶ絶好の
チャンスと言えるのです。