リーディングとリスニングの処理の関係。
通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験」
の、4月から始まる新講座の新講義資料
「No.081 言語学習」
より。
ただ単に学習者に黙読させるより、
ポーズの入った聞き取りをさせた上で
黙読させた方が、
読解力が上がるという研究。
なかなか面白いです。
以下。
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リーディングとリスニングの処理の関係
鈴木(1998)は、英語を学ぶ日本の高校3年生
90名を対象に、
リーディングとリスニングの関係について
研究を行いました。
具体的には、90名を同じ学力で構成される
30人ずつ、(A)から(C)の3グループ
にわけ、
各グループに以下のような指導を行いました。
(3)A群:句や節ごとにポーズを入れた
音声テープを聞かせながら黙
読させる指導
B群:ポーズなしの自然な読みの音
声を聴かせながら黙読させる
指導
C群:黙読のみの指導
その結果、
読速度(単純に文章を読む速度)と
読解速度(読速度に理解度テストの正答率
をかけ合わせた一種の読解力指標
(小池編(2003)p.561))
ともにA群が最も高く、C群が最も低い
結果となりました。
このことは、「1 リスニング訓練を十分に
積んだ上で、音声提示をしつつ読解訓練を導
入すると、
英文の読解訓練のみを行うよりも、読速度や
読解力の育成はるかに効果がある
[(A)(B)>(C)]、
2 音声提示の際には、句・節など学習者の
英文知覚単位を考慮して提示すると、
おそらくはそのような単位で処理する方法が
読解にも転移した結果、さらに学習者の読速
度、読解力を高める働きがある
[(A)>(B)]」(小池他(2003)p.561)
ことを明らかにしています。
このことは、リーディングとリスニングの
情報処理に何らかのつながりがあり、
互いに影響し合うものであることを示して
います。
日本語教育においても読解の授業で学習者に
黙読をさせることがありますが、
その場合、単に黙読させるだけではなく、
句や節ごとにポーズを入れた音声を聞かせた
上で行えば、より高い効果が期待できると
言えるでしょう。
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上記講義資料は4月お目見え。
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【WEBで学ぶ通信講座
「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
https://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/