新試験、必須の教育内容と到達目標とは?(後編)
前回に引き続き、
「必須の教育内容と到達目標」
についてご紹介。
今回は、その後編です。
前回お伝えするのを忘れましたが、
出典は、11月24日に行われた
文化審議会国語分科会日本語教育小委員会
(第122回)(令和5年11月24日)
https://00m.in/VD9ri
で配布された
資料3-2
「登録日本語教員実践研修・養成課程
コアカリキュラム(案)<溶け込み版>」
https://00m.in/GOPFA
です。
以下。
====================
9 異文化理解と心理
<18>異文化受容・適応
◎異文化接触によって学習者に生じる問題と
その適応のプロセスについて理解している。
<19>日本語の学習・教育の情意的側面
◎学習に影響を与える心理的要因や、学習者
の心的側面における対応に関して理解して
いる。
10 言語教育法・実習
<20>日本語教師の資質・能力
◎日本語教育人材の役割・段階・活動分野な
ど、キャリアパス及び求められる資質・能
力について理解している。
<21>日本語教育プログラムの理解と実践
◎プログラムの構成要素について理解し、日
本語教育プログラム全体の中に自身の授業
を位置付けることができる。
<22>教室・言語環境の設定
◎効果的な日本語学習環境を設定できるよう
になるために、教室形態及び学習環境の教
育上の影響・効果について理解している。
<23>コースデザイン
◎日本語教育プログラムの目的・目標に沿っ
た教育計画が立てられるようになるために、
コースデザインの方法について理解してい
る。
<24>教授法
◎多様な学習者や環境に応じた教授方法を選
択・活用できるようになるために、様々な
外国語(第二言語)教授法について理解し
ている。
<25>教材分析・作成・開発
◎日本語教育における教材の分析方法及び教
材作成・開発の方法について理解している。
<26>評価法
◎日本語教育における評価に対する考え方や
方法について理解している。
<27>授業計画
◎日本語教育における授業計画の立て方につ
いて理解している。
<29>中間言語分析
◎学習者の誤用の分析及びフィードバック方
法について理解している。
<30>授業分析・自己点検能力
◎常に学び続ける素地を養うために、授業を
客観的に分析する方法を理解し、授業の自
己点検・相互評価を通じてその方法を実践
できるようになる。
<31>目的・対象別日本語教育法
◎求められる日本語教育プログラムの目的や
目標を踏まえた授業を実施するために、目
的・対象別の日本語教育プログラムについ
て理解している。
11 異文化間教育とコミュニケーション教育
<32>異文化間教育
◎異なる文化を持つ人々の間で生じる様々な
問題を克服し、文化の多様性を尊重し、異
なる文化背景を持つ者が共生に向けて円滑
な関係を築くために必要となる異文化間教
育に関する基礎的な知識について理解して
いる。
<33>異文化コミュニケーション
◎異なる文化的背景を持つ人々と円滑なコ
ミュニケーションを行うために必要な知識
と技能を理解している。
<34>コミュニケーション教育
◎学習者の日本語によるコミュニケーション
能力を育成するために、コミュニケーショ
ン教育の理論及び手法について理解してい
る。
12 言語教育と情報
<35>日本語教育と ICT
◎授業実践や学習管理、教材作成等に必要と
なる ICT の効果的な活用方法について理解
している。
<36>著作権
◎日本語教育活動を行う上で必要となる情報資
源の扱い方について理解している。
13 言語の構造一般
<37>一般言語学
◎世界の言語及び日本語を系統的・類型的に捉
え、言語を客観的に分析する方法を理解して
いる。
<38>対照言語学
◎教育実践に活用するために、日本語を他の言
語と比較し、相違点・共通点を分析する方法
を理解している。
14 日本語の構造
<39>日本語教育のための日本語分析
◎日本語を分析的に捉える方法を理解している。
<40>日本語教育のための音韻・音声体系
◎日本語の発音指導に必要となる音韻・音声に
関する知識を理解している。
<41>日本語教育のための文字と表記
◎日本語の文字指導に必要となる日本語の書記
体系に関する知識を理解している。
<42>日本語教育のための形態・語彙体系
◎日本語の形態論と語構成を理解し、語彙指導
に必要となる知識を理解している。
<43>日本語教育のための文法体系
◎日本語教育のための文法を体系的に学び、指
導上に必要となる分析方法について理解して
いる。
<44>日本語教育のための意味体系
◎日本語教育のための意味体系に関する知識を
体系的に学び、指導上必要となる分析方法に
ついて理解している。
<45>日本語教育のための語用論的規範
◎日本語教育のための語用論的規範について学
び、効果的な教育実践方法を理解している。
15 コミュニケーション能力
<46>受容・理解能力
◎受容・理解能力について理解し、学習者の受
容・理解能力(読むこと・聞くこと)を向上
させるための方法を理解している。
<47>言語運用能力
◎言語運用能力について理解し、学習者の言語
運用能力(話すこと・書くこと)を向上させ
るための方法を理解している。
<48>社会文化能力
◎日本語での社会言語的な適切さに関する知識
や社会文化的知識について理解し、学習者の
社会言語能力及び社会文化能力を向上させる
方法について理解している。
<49>対人関係能力
◎多様な価値観を持つ関係者や、学習者を取り
巻くコミュニティと連携して教育実践を行う
ため、日本語教育人材として求められる対人
関係能力について理解し、自らの対人関係能
力を向上させることができる。
<50>異文化調整能力
◎教師として多様な関係者と連携・協力する上
で必要となる異文化理解能力や、異文化接触
場面における摩擦を調整するコミュニケー
ション能力について理解し、自らの異文化調
整能力を向上させることができる。
======================
いかがでしょうか。
特に目を引くのは、
「14 日本語の構造」
のところの小項目がすべて
「日本語教育のための●●●」
という形をとっている点です。
つまり、単に専門知識を持っているだけでは
ダメで、
「日本語教育の現場で役に立つ知識」
でないとだめですよ、ということなんですね。
当たり前と言えば当たり前ですが、
もしかしたら、今まで学問的にそこまで
こなれていなかったのかもしれません。
逆に言えば、私たちが試験勉強をする際も
こうしたスタンスで勉強すれば、
現場をイメージしながら、臨場感をもって
楽しく学べるのではないかと思います。
試験勉強、本当はとっても楽しいんですよ(^_^)