慣用句(講義資料No.033 意味体系より)
先日改訂した
【WEBで学ぶ通信講座
「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
https://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/
の講義資料「No.033 意味体系」で
「慣用句」
の加筆部分を含んだ一節をご紹介します。
慣用句も、地味に検定試験でよく出題されます。
しっかりインテイクしてくださいね(^_^)
以下。
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慣用句
慣用句とは、「2つ以上の自立語が固定的に組み
合わさって一定の意味を表しているもの」(日本語
教育学会(2005)p.235)を言います。
慣用句は、語の普通の組み合わせとの関係からいく
つかのタイプに分けられます。
(8)1.普通の組み合わせとしての意味も慣用句
としての比喩的な意味も持つもの。
:「骨を折る(“骨折する”と“苦労す
る”)、油を売る、頭があがらない」
など。
2.要素の語はいずれも、他のいろいろな語
と組み合わせうるのだが、その組み合わせ
はもっぱら慣用句として使われるもの。
:「間に合う、腹がたつ、手に負えない」
など。
3.その慣用句のなかでしか使われず意味も
はっきりしない語を含むもの。
:「らちがあかない、うだつがあがらない、
肩身がせまい」など。(同上。p.235)
なお、同じ「切る」を使った表現でも「しらを切
る」「口火を切る」は慣用句ですが、「封を切る」
「電話を切る」は慣用句ではありませんので注意が
必要です。
さらに、慣用句として結びつく要素は、それぞれ
の言語や社会習慣によって異なります。
例えば、日本語では悪事を行うことを「手を染める」
といい、逆に悪事をやめることを「足を洗う」とい
いますが、
学習者の母文化によっては「足を洗う」の意味で
「手を洗う」という言い方をするところもあります。
従って、指導の際には注意が必要です。
この他、慣用句や慣用的な表現の中には、表現
形式とその意味がにわかにつながりにくいためか、
学習者も日本人も誤って使っていたり、勘違いし
て使っていたりしているものが少なくありません。
文化庁国語課(2015)は、そうした表現を「勘違い
しやすい日本語」として取り上げています。
その中のいくつかを表にまとめると次のページの
ようになります。
表の右欄の上段が本来の意味、下段が勘違いして
使っている意味です。
勘違いしやすい日本語
(文化庁国語課(2015)pp.236-239より抜粋。)
●気がおけない
相手に気配りや遠慮をしなくてよいこと
相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこ
と
●役不足
本人の力量に対して役目が軽すぎること
本人の力量に対して役目が重すぎること
●煮詰まる
(議論や意見が十分に出尽くして)結論の出る
状態になること
(議論が行き詰まってしまって)結論が出ない
状態になること
●世間ずれ
世間を渡ってきてずる賢くなっている
世の中の考えから外れている
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いかがでしたか。
中には「勘違いしやすい日本語」を見て、
「えっ!私、間違って認識していた!」
という方もいらっしゃるかもしれませんね。
そういう所が、検定試験に出題されるんです!
(笑)
しっかりインテイクしてくださいね(^_^)