ポーズ(講義資料No.013 日本語のプロソディより)
先日改訂した
【WEBで学ぶ通信講座
「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
https://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/
の講義資料「No.013 日本語のプロソディ」で
「ポーズ」
の加筆部分を含んだ一節をご紹介します。
この内容は、実際に令和2年に出題された
ものを追加しています。
しっかりインテイクしてくださいね(^_^)
以下。
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ポーズ
ポーズとは、発話中の無音区間のことをいい、
休止、間(ま)ともいいます。
ポーズは、語や句、文の切れ目、文の統語構造を
示すだけでなく、
聞き手に話し手の言った情報を咀嚼する機会を
与えるという、コミュニケーション上重要な
機能を持っています。
杉藤(1996)は、テレビニュースのポーズのみを
除去した音声(これを1とします)と、
もとのニュースを1と同じ時間に圧縮した音声
(これを2とします)を日本人に聞かせた実験
をしました。
その結果、以下のような結果が得られました。
(杉藤(1996)p.161)
これらのことから、相手に自分の意図をしっ
かり伝えたい場合は、時々ポーズを置きながら
話すと効果的であるということができます。
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ポーズの有無と聞き手の印象
テープ1(ポーズなし)
・余裕がなく速い
・2~3人が交互に話している
・思いやりがない感じ
・考えるスキを与えない
・単語しかわからない
テープ2(圧縮音声)
・ゆっくりでききやすい
・句読点がちゃんとしている
・間があって整理しやすい
・わかりやすいが速い
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指導の際には、相手に聞きやすいように
発話するために、文の切れ目や段落間など
でポーズを入れる、
あるいは、前者ではやや短めの、後者では
やや長めのポーズを入れるよう指導すると
いいでしょう。
また、ポーズには曖昧文の意味を特定す
る機能もあります。
例えば、(33a)は、「昨日」が「火事が
あった」日とも「ニュースを聞いた」日と
も取れますが、
(33b)のように「あった」の後ろに読点
「、」(=ポーズ)を置くことで、「昨日」
が前者の日を表すことがわかります。
(33a)昨日近所で火事があったという
ニュースを聞いた。
(33b)昨日近所で火事があった、という
ニュースを聞いた。
従って、相手に文の構造を理解させやす
くするためにも、適切な位置にポーズを置
くよう指導することは有効です。
なお、中には「しき(四季)」を「しっ
き」、「あか(赤)」を「あっか」のよう
に発音してしまう学習者がいますが、
それは、後続の閉鎖音(「き」「か」の[k])
の閉鎖時間を長く取ってしまったための
誤用であって、
ポーズとは異なりますので注意が必要です。
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いかがでしたか。
「ポーズ」、理解できましたか。
ポーズは、音声学の中では地味なキャラ
ですが、
検定試験では、何気によく出題されます。
しっかり勉強してくださいね(^_^)