日本語の受身は(  )動詞の受身もある。

この問題は、平成25年の日本語教育能力
検定試験に出題されたものです。

さて、(  )には何が入るでしょうか。

可能動詞?…いいえ。

知覚動詞?…いいえ。

移動動詞?…いいえ。

無意志動詞?…いいえ、いいえ。

答えは、自動詞です。

ですので、(  )には「自」が入ります。

と、急に自動詞と言われても、

「なぜ自動詞なの?」

と思われる方も多いでしょう。

ただ、日本語に自動詞文の受身がある
というのは、

学習者からすると摩訶不思議である
というのは、覚えておいてください。

では、解説しますね。

まず、下の例を見てください。

(1)太郎が二郎を殴る。
(2)二郎が太郎に殴られる。

この時、(1)は普通の文(能動文)で
(2)は(1)の受身文です。

(1)の事態は、「太郎」が「二郎」に
「殴る」という動作を働きかけたことを
表しています。

で、(2)の文はその事態を「二郎」の
視点から述べた文ですね。

つまり、通常、受身文というのは、
働きかける人(主体)と働きかけられる
人(対象)の存在が必須なのです。

そもそも、働きかけられた人がいなければ、

「やられた」

と思う人がいないわけで、受身文の作り
ようがないわけです。

ということは、この両者をつなぐ動詞、

言い換えれば、

「主体が他の対象に働きかけることを
 表す動詞」

つまり【他動詞】を含んだ他動詞文が
通常の受身文なんですね。

ところがです。

日本語の場合、他動詞文だけでなく、
自動詞文も受け身にできるという、
摩訶不思議なケースがあります。

「やられた」と思う人がいなのに、受身文
が作れる。

こう考えると、その摩訶不思議さをご理解
いただけるかと思います。

下の例を見てください。

(3)雨が降る。
(4)(私は)雨に降られる。

(3)は、自動詞文です。

なぜなら、「降る」は、

「主体の自発的、自然発生的な動作や変化
 を表す動詞」

つまり、自動詞だからです。

他動詞文のように誰にも直接働きかるような
ことはしていません。

にもかかわらず、(4)のように「私」を
主語にして受身文を作ることができるん
ですね。

この場合、先の(1)(2)と違って、
「雨」が直接「私」に働きかけている
わけではありません。(だったら怖い(笑))

そうではなくて、無差別に降っている「雨」
の影響を間接的に「私」が受けたという文
になっています。

ですので、このような受身文を間接受身文
といいます。

で、通常、このような受身文は

「迷惑を受けた。」
「被害を被った。」

といったニュアンスを帯びることが多いので、
別名「迷惑の受身」とか「被害の受身」と
言われることが多いんですね。

ご理解いただけましたでしょうか。

5月20日からは、

篠研の「圧巻!日本語教育能力検定試験
日本語文法セミナー」

が始まります。

すでに満席ですが、通信講座のスタンダード
会員、プレミアム会員にご入会いただけると
参加できます。

日本語文法が苦手な方は、ぜひお急ぎくだ
さい。


資格取得が目標の方へ
無料メルマガ「篠研の日本語教育能力検定試験対策」

日本語教育能力検定試験頻出のキーワードやテーマについて4択問題と動画でお届けします。平日(月・水・金)、日本語教育能力検定試験合格のための情報をご提供するメルマガです。

さらに、今ご登録なさると特典が無料でダウンロードできます。
特典 「日本語教育能力検定試験 記述問題対策」(全24ページ)

解除はもちろんのこと、メールアドレス変更など個人データの編集も簡単ですので、ご安心ください。プライバシーポリシーをご確認の上、ご登録を希望されるメールアドレスを入力し、ご希望の項目ボタンを押してください。

  メールアドレス【必須】
  お名前(姓)【必須】
  お名前(名)【必須】
  よみがな【必須】
  都道府県【必須】 なお、海外在住の方は「海外」をお選びいただき、下記項目に例のようにご記入ください。
海外にお住まいの方は「ベトナム(ホーチミン)」のようにお書きください。