2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(12)
引きつづき、
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
ついて(報告)(素案) 」
https://bit.ly/3hxTout
を2誌合同で解説。
2誌連番で解説いたしますので、片方しか
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下記サイトをご参照ください。
日々成長する教師
https://www.kanjifumi.jp/seicho/
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また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。
詳しくは、上記資料をご参照ください。
第12回は、いよいよ本丸
「3.日本語教師の国家資格に関すること」
です。
そのうち、今回は
「(1)筆記試験」
の前半部分を扱います。
新しい国家資格制度では、筆記試験と教育実
習の両方をクリアする必要があります。
以下、読んでいきましょう。
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(1)筆記試験
(試験の基本的な性格等)
○ 登録日本語教員の試験は、認定を受けた
日本語教育機関で日本語教育を行うすべて
の教師が、平成 31 年審議会報告を踏まえ
た基本的な知識及び技能として、
1.日本語教育に関する基礎的な知識及び
技能言語そのものや言語教育、世界や
日本の社会と文化等に関する基礎的な
知識及び技能の3領域、5区分、15下
位区分及び 50 項目に基づく必須の教
育内容を踏まえたもの
2.日本語教育に必要な知識及び技能の応
用実際に日本語教育を行う際の現場対
応や問題解決を行うことができる知識
及び技能の問題解決能力
について確認し、一定の専門性を証明するた
めの資格の要件として筆記試験を実施する。
試験の一部(筆記試験1)の基礎的な知識及
び技能について、平成 31 年審議会報告にあ
る「必須の教育内容」50 項目に関する所定
の科目について一定期間の学習を行った者は
習得されたものとし、
養成課程の修了をもって筆記試験1を免除で
きることとする。
試験は養成機関における教育内容・方法等に
波及効果を有することから、
指定日本語教師養成機関における教育課程の
在り方と併せて適切に検討する必要がある。
特に、令和3年協力者会議報告では、指定日
本語教師養成機関の修了者については、筆記
試験の一部(筆記試験1)が免除される仕組
みとしていることから、
筆記試験1の出題内容と指定日本語教師養成
機関での履修内容が整合することが必要であ
る。
(試験の内容等)
○ 令和3年協力会議報告を踏まえ、日本語
教師の能力を判定する筆記試験は二つの区
分で構成する。
筆記試験1は日本語教育の実践につながる
基礎的な知識を測定する試験、筆記試験2
は現場対応能力につながる基礎的な問題解
決能力を測定する試験とする。
○ 試験の出題範囲については、令和3年協
力者会議報告において、平成 31 年審議会
報告において養成課程で実施すべき内容と
して示された「必須の教育内容」の 50 項
目に基づくもの」と整理されており、
本試験は、養成修了段階で習得しておくべ
き必要不可欠、かつ、基礎的な知識及び技
能が網羅的に備わっていることを確認・評
価するものとして位置づける。
○ また、平成 31 年審議会報告では、「留
学生」の他に、「生活者」「就労者」「児
童生徒」「難民」などを対象とした日本語
教育の活動分野や学習対象者に応じて求め
られる専門性については
現職日本語教師の初任研修の修了段階で求
められるものとして位置付けられているこ
とから、
例えば分野別の詳細な知識やより高度な知
識については、本試験で出題するものでは
なく、資格取得後の初任研修等を通じて継
続的に習得していくべきものとして
登録日本語教員のキャリア形成の観点から
養成・研修の全体像を示すことが必要であ
る。
(出題の内容、形式)
○ 登録日本語教員の試験は、資格取得時に
おいて基本的な知識及び技能が備わってい
ることを評価するものとして位置づけられ
る。
また、指定日本語教師養成機関の養成課程
を経た者が習得すべき知識・技能を網羅的
に備えているか否かを評価するという試験
の基本的な性格を踏まえ、
「必須の教育内容」50項目に基づき基礎的
な知識や基礎的な問題解決能力を測定する
問題が適切に出題され、大臣が指定する日
本語教師養成機関を適切に修了した者が合
格できる内容であることが求められる。
出題に当たっては、質を維持するため継続
的に検証、蓄積し、開始後の試験の改善な
どに生かす。
また、試験の目的を踏まえ、教員のキャリ
ア形成を見据えた養成課程で習得する段階
で求められる基礎的な知識及び技能を測る
問題を精査、
かつ標準的な問題を出題することを検討す
る。
○ 試験の構成については、令和3年の報告
書を踏まえ以下の二つの区分とおりとする。
・ 筆記試験1の区分(指定日本語教師養
成機関の修了者は免除)
原則として、出題範囲の5区分ごとの設
問により、日本語教育の実践につながる
基礎的な知識及び技能を測定
・ 筆記試験2の区分
出題範囲が複数の領域にまたがる横断的
な設問により、基礎的な問題解決能力を
測定。
併せて、基礎的な知識、技能及び基礎的
な問題解決能力について、音声を媒体と
した出題形式で測定
○ 出題形式については、筆記試験1、筆記
試験2ともに多肢選択式とする。
なお、問題解決能力を測る記述式について
は、その意義を認めつつ、
登録日本語教員に対し、実践力を習得・評
価する教育実習を求めること、
試験実施運営の費用対効果、日本語教師不
足の中で、登録日本語教員の質・量を確保
するための受験者への配慮などの観点から
総合的に検討する。
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基本的には、今年平成4年に実施された
新出題範囲での日本語教育能力検定試験
の内容を、
ほぼ踏襲する形になるかと思います。
また、他の資料なども見ると、上記中の
「筆記試験1」は、現行の検定試験の
試験Iと、
「筆記試験2」は、「試験II」「試験III」
と、ほぼ同じであると思われます。
新制度に移行しても、試験内容については
ほとんど変わらないようですので、
そこはご安心ください。
ただ、問題は今後どうやって試験勉強を
進めていけばいいのかということ。
新制度への以降は、まだ数年先ですので、
すぐにどうこうということはありませんが、
いずれ新制度に移行するのであれば、
移行後の「筆記試験2」受験(後述)にも
対応できる知識を今から身につけておくの
がベストです。
となれば、少なくとも
【今年の試験で導入された「必須の教育
内容」に準じた新出題範囲をしっかり
カバーした、検定試験合格レベルの教
材を選ぶ】
というのが、検定試験合格、ひいては
新制度以降も長く日本語教師を続けてい
くための生命線であると断言します。
もちろん、篠研の通信講座は、上記条件を
充たして余りある内容となっています。