2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(7)
引きつづき、
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
ついて(報告)(素案) 」
https://bit.ly/3hxTout
を2誌合同で解説。
2誌連番で解説いたしますので、片方しか
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下記サイトをご参照ください。
日々成長する教師
https://www.kanjifumi.jp/seicho/
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また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。
詳しくは、上記資料をご参照ください。
第7回は、
「3.具体的な認定基準、審査基準等の方向性 」
の「人的・物的な体制の評価」の中の「収容定員」
と「教員」について扱います。
ここは、教師の要件などが含まれる非常に
重要な部分です。
というのも、
「授業を担当する教員はすべて登録日本語教員
でなければならないこと」
が明記されているからです。
つまり、本制度施行後は、登録日本語教師の
視覚がなければ、日本語学校に勤務することが
できないということです。
以下、読んでいきましょう。
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○人的・物的な体制の評価
【収容定員等】
日本語教育の質を担保するためには、その特性
を踏まえた生徒の数が教員数や施設・設備等の
条件に対して適正である必要がある。
・専門学校設置基準・各種学校規程や法務省告
示基準を参考に、教員数や施設・設備等を考
慮して適正な収容定員を定めること
・新設機関については一定の上限を設けること
や、増員についてもその規模や頻度について
制限を設けること
・機関全体の収容定員だけでなく、同時に授業
を受ける生徒の数についても、生徒一人一人
と教員が向き合える環境を確保する観点から
ふさわしい一定人数以下に制限すること等を
検討する。
【教員】
・教員については、授業を担当する教員はすべ
て登録日本語教員でなければならないことと
して、その質を担保することとし、各機関に
おける教員の数や教員組織の体制なども教育
の質を担保する上で重要な要素であるため、
認定基準で確認すること
・教員組織を統べ、機関全体を管理する校長に
ついて、これまでの審査などを参考に要件を
求めることとするとともに、主任教員や生活
指導担当者などの体制も求めること
・また、教員の数や授業担当時間数の上限につ
いて、これまでの審査などを参考に定めるこ
と
等を検討する。
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まず、【収容定員等】で注目すべきは、
「・専門学校設置基準・各種学校規程や法務省告
示基準を参考に、教員数や施設・設備等を考
慮して適正な収容定員を定めること」
の部分。
つまり、学校法人格の日本語学校は従来の法人の
要件に沿って、
また、法務省告示校は、法務省の日本語学校設置
基準に概ね沿って、運営されるということです。
この辺りは、従来とあまり変わらないと。
続いて、【教員】で注目すべきは、
「・教員については、授業を担当する教員はすべ
て登録日本語教員でなければならないこと」
の部分。
これまでも述べてきましたが、この登録日本語
教師の資格取得が、なかなかのハードル。
実は、冒頭でもお話した通り、昨日滝澤先生
セミナーを実施したのですが、
滝澤先生の場合、オンラインレッスンで時間
単価が5,314円。
もちろんプラットホームに2割から4割の手
数料を払わなければなりませんが、
仮に4割だとしても手元に3,000円残ります。
これは日本語学校の時給相場のほぼ1.5倍。
これで自分の好きな時間に、かつ週に数十
時間こなされている。
しかも、滝澤先生は授業準備もほとんどなし
とのこと。
つまり何が言いたいのかというと、
国は、教師の質の向上を謳うのであれば、
同時にそれに見合った待遇を用意しなければ、
日本語教師はどんどんオンラインに流れてし
まい、
結果、日本語学校の人手不足はますます深刻
になるのではないか、ということです。
今、多くの自治体の日本語教室ではボランティ
ア教師不足に陥っているようですが、
このまま国も日本語学校も教師の待遇改善に
本気で取り組まなければ、
近い将来、ボランティアどころか日本語学校も
今の日本語教室と同じような状況になるのでは
ないかと危惧しています。
それで本当に国策としての多文化共生社会施策
を遂行することができるのか。
その結果、国も日本語学校も優秀な日本語教師
を確保できず、
相変わらず「教師の質と量の確保が課題」と
言い続けるのではないかと予測したりしていま
す。
問題の本質は、そこではないのですが。