2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(3)
先日12月13日に、
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する
有識者会議(第7回)」
が開催されました。
この内容は、現職の日本語教師の方にも
また、これから日本語教師を目指す方に
とっても、大変重要な内容です。
そこで、今回から数回にわたり、本会議で
提出された資料
「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
ついて(報告)(素案) 」
https://bit.ly/3hxTout
を2誌合同で解説していきたいと思います。
2誌連番で解説いたしますので、片方しか
登録していない方は、両メルマガをご登録
なさるか、
下記サイトをご参照ください。
日々成長する教師
https://www.kanjifumi.jp/seicho/
(メルマガのバックナンバーが読めます)
また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。
詳しくは、上記資料をご参照ください。
第3回は、
「(イ)専門的な知識及び技能等を必要とする
日本語教師の資格に関する仕組み」
についてです。
実は、この前に、
「(ア)日本語教育の教育課程を適切かつ確実
に実施する日本語教育機関の認定制度」
という項目がありますが、こちらは日本語教育
機関向けですので、割愛いたします。
ご興味のある方は、ぜひご一読ください。
以下。
「(イ)専門的な知識及び技能等を必要とする
日本語教師の資格に関する仕組み」
ここでは、登録日本語教師の認定について
述べられています。
皆さんが最も関心のある所ですね。
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(日本語教師の資格の仕組みの目的)
○ 日本語教師の資格を整備する目的は、外国
人等に日本語を教える日本語教師の資質・
能力を確認し、証明するための資格を定めて、
日本語教育の質の向上及び日本語教師の確保
を図り、日本語教育の一層の推進を行うこと
による、
多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実
現、諸外国との交流の促進及び友好関係の維
持発展とすることを目的として、
令和2年審議会報告、令和3年協力者会議報
告においては、名称独占の資格として「公認
日本語教師」としての資格化の方向性が示さ
れた。
○ しかしながら、国内における日本語教育に
関する専門的な知識及び技能を必要とする業
務に従事する日本語教師の新たな資格制度に
ついては、
国内外の様々な場で日本語学習者に直接指導
する日本語教師との違いや混同を避けるよう
な名称を検討すべきであることや、
「公認日本語教師」の業務の明確化が困難で
あることなどが指摘された。
○ これまでの検討を踏まえ、専門性を有した
指導者として一定の専門的な知識及び技能等
を有する日本語教師について、
国が創設する資格を有する者として国に登録
した日本語教師(以下、「登録日本語教員」と
いう。)に対して、
・専門人材の資格として国の登録を得て社会
に証明できるよう法的効果を持つものとし
て検討を行う
・登録日本語教員のキャリア形成に資するよ
う、専門人材として求められる役割・段階
・「留学」「就労」「生活」等の活動分野
ごとの資質・能力などを踏まえた教育内容
・方法等の研修を受講できる支援策につい
て事業等を通じて講じる
・登録日本語教員が研修履歴を記録し活用す
るような仕組みを検討する
など、登録後のキャリア形成に資する仕組み
として検討する。
○ 前述(ア)の日本語教育機関においては、一
定の専門的な知識及び技能等を有する日本語
教師として国に登録された「登録日本語教員」
を配置することとし、
国の認定を受け、一定の教育の質が保証され
た日本語教育機関として、登録日本語教員の
キャリア形成のための研修機会を確保するな
どの組織マネジメントが求められるような仕
組みを検討する。
○ 専門的な知識及び技能等を有する登録日本
語教員は、認定を受けた日本語教育機関以外
の場として、
小中学校における外国人児童生徒、難民等へ
の指導、海外での指導などの様々な場におい
て活躍も期待されることから、
登録日本語教員として基礎となる資質・能力
を身に付けた上で、各分野において活動を希
望する者に対する研修等の環境整備を推進す
るとともに、
登録日本語教員制度の普及を通じて本制度の
活用を促進する。
国は、必要な研修機会を提供するため、現職
日本語教師が学びやすいようなオンライン研
修教材などの提供に努めることとする。
(登録日本語教員)
○ 「登録日本語教員」となることを希望する
者は、認定を受けた日本語教育機関において
日本語教育を行うために必要な知識及び技能
について国が行う試験に合格し、
かつ、必要な実践的な能力を身に付けさせる
ために行う実践的な「教育実習」を修了した者
は、国の登録を受けることができることとする。
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ここでは「登録日本語教員」について言及されて
います。
私が注目したいのは、
「・専門人材の資格として国の登録を得て社会
に証明できるよう法的効果を持つものとし
て検討を行う」
というところ。
つまり、名称独占資格とは言いながらも、
主要な教育機関(主に日本語学校)で教鞭を
取るためには、
登録日本語教師の資格を持った者でなければ
ならないと法的に定めるということだと思い
ます。
つまり、登録日本語教師になったほうが
職業選択の幅が広がるということですね。
できれば、日本語学校だけではなく、
国は自治体も一定の雇用枠を設けていただき
たいところですが、
ここはかなり壁が厚いと思われます。
さらに、本資格取得のための要件については、
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○ 「登録日本語教員」となることを希望する
者は、認定を受けた日本語教育機関において
日本語教育を行うために必要な知識及び技能
について国が行う試験に合格し、
かつ、必要な実践的な能力を身に付けさせる
ために行う実践的な「教育実習」を修了した者
は、国の登録を受けることができることとする。
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とある通り、試験と実習の2本立て。
従来は、検定試験に合格するか420時間養成
課程で実習を経験するかのいずれかでした
ので、
資格取得のハードルが上がる形となります。
となれば、今のうちに検定試験に合格して、
一刻も早く日本語学校に就職して、
経過措置の恩恵を受けた方がはるかに得策
ではないかと思います。