「2021年度海外日本語教育機関調査結果概要」を読む(2)

11月24日、国際交流基金基金から

「2021年度海外日本語教育機関調査結果概要」
 https://bit.ly/3itVImD

が発表されました。

前回からこのレポートについて解説して
います。

今回はその2回目として、

「教育段階別学習者数の割合」

についてお話します。

結果は以下の通り。

中等教育49.6%
高等教育25.6%
学校教育以外16.1%
初等教育8.7%

このように中等教育が約半数を占めて
います。

中等教育の定義は、国によって微妙
にことなるようですが、

日本では、中学校と高等学校が
これに該当します。

では、なぜ中等教育が多いのでしょうか。

これについては、各国の教育事情を
みるとよくわかります。

国際交流基金では、各国の日本語教育の
状況が紹介されています。

日本語教育 国・地域別情報 2020年度
https://bit.ly/3FlEYaa

まだ今回調査の結果は反映されていない
ようですが、

2018年の調査結果でもかなりその傾向は
掴めるかと思います。

それでは、上位3か国の中等教育について
見てみましょう。

まずは、中国。

このように書かれています。

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中等教育

日本語を外国語科目として教えている普通校と、
日本語の専門教育を実施している外国語学校
および職業校に大別できる。

近年、大学入試での外国語科目として、英語が
苦手な生徒に日本語を受験させるため、日本語
クラスを開設する学校が増えている。

特に、江蘇省、浙江省、貴州省、広東省などの
南の地域での学習者数の増加が著しい。

一方、吉林省や黒竜江省など東北の地域では、
英語志向の高まりにより学習者数は減少傾向
にある。

また、第一外国語だけでなく、第二外国語や
校長の采配で設置が決まる校本課程などでの
日本語クラスの開設も増えつつあるが、

定められた指導要領等は無く、各機関が独自
に行っているのが現状である。

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続いて、インドネシア。

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中等教育

前期中等教育(中学校)では、高校の日本語
教師が兼務して選択科目もしくは課外活動の
いずれかの形で日本語を教えるところがある。

後期中等教育(高校)では、第二外国語の一
つとして、語学系コースの選択必修科目、

その他のコースの選択科目、課外活動のいず
れかの形で、日本語が教えられている
(普通高校(SMA)、宗教高校(MA))。

専門高校(SMK)では、観光サービス業務専攻
で、選択必修科目として第二外国語を履修する
ほか、

その他の専攻でも、選択科目と課外活動で日本
語が学ばれている。

高校の種類を問わず、学校・地域裁量科目とし
て導入されているところもある。

2006年のカリキュラム改定により、全ての普通
高校及び宗教高校の生徒が、1年生から3年間継
続して第二外国語、

または技術・家庭科のいずれか一科目を選択履
修することが必修となったことを受けて、
2006年以降、高校での学習者が大幅に増加した。

高校でどの語学を教えるかの選択は校長の裁量
に委ねられているが、

現地日本語教育関係者から

「日本語には、教育文化省検定済の教科書(教
 育文化省・国際交流基金共同制作)がある」

という理由で日本語を採用する学校長が多いと
の意見がしばしば聞かれることから、

教科書の存在も日本語履修者を増やすことに
つながった大きな要因と考えられる。

2013年の新カリキュラム導入に伴い、高校での
日本語学習者数が2012年の日本語教育機関調査
の数値から約14.6%減少した。

これはカリキュラム改定により実質的に「必修
科目」だった第二外国語が「選択科目」になっ
たことが主な要因と考えられる。

なお、従来第二外国語は5か国語であったが、
2013年の新カリキュラムでは韓国語が加わり、

現在、日本語、中国語、韓国語、フランス語、
ドイツ語及びアラビア語の6か国語となっている。

2018年の調査では学習者数は前回調査時より
減少したものの、その減少率は8%強と半減し、
学習者の減少傾向に歯止めがかかりつつある
ことが伺える。

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最後に韓国を見てみましょう。

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中等教育

《中学校》
 「高等学校」参照。

《高等学校》
中等学校の選択科目には「漢文」「コンピュー
ター」「環境」「生活外国語」の4つ、

高等学校の選択科目には「技術・家庭」「漢文」
「教養」「第2外国語」の4つがそれぞれある。

選択科目の中の外国語は中等学校、高等学校
とも日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、
スペイン語、ロシア語、アラビア語、ベトナム
語の8つがある。

学校の采配によりどの外国語クラスを設置する
かが決まる。

2011年に施行された「2009年改訂教育課程」
(日本の学習指導要領に相当)により第二外国
語が必修科目から選択科目に移行した影響で、

中等教育の学習者数が大幅に減少するという
現象が起きたが、その後は一定した学習者数を
維持している。

第二外国語が選択科目になったことにより、
日本や日本語に少なからず興味を持つ生徒に
限定されることとなったが、その数は安定して
いる。

韓国における日本語学習者数の減少については
少子化の影響も少なからずあるが、

就学児童数・生徒数の減少率に比べて日本語
学習者の減少の割合は緩やかである。

選択外国語の中でも、依然、日本語は一番人気
の科目であり、日本語学習離れが加速している
とは一概に言えない。

昨今の日韓関係等から見てもかなり健闘して
おり、希望が持てると言える。

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いかがでしょうか。

このように、国ごとに見てみると、
単に数字の増減だけでは見えない、
現地の状況が見えてきます。


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