実はおもしろい検定試験(俺、期待されていなかったんだ)
複合動詞というと、語彙的複合動詞と
統語的複合動詞の2種がありますが、
学習者にとってわかりにくいのは、
一般的に統語的複合動詞。
なぜなら、後項動詞の本来の意味を
失って文法的な意味を担うようになる
から。
この辺りの用法の飛躍が、学習者には
にわかには分かりにくいんですね。
じゃあ語彙的複合動詞は簡単なのかと
いうと、
それはそれでちょっとしたところに
落とし穴があると。
今回は、そんな問題をご紹介します。
平成30年、試験I問題Iから。
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問題I 次について,【 】内に示した
観点から見て,他と性質の異なるもの
を,それぞれ 1~5 の中から一つずつ
選べ。
【「~直す」の用法】
1 中学の教科書でもう一度勉強し直した。
2 頑張って合格した息子を見直した。
3 本を出版するときに全面的に書き直した。
4 コーチに言われて基礎からやり直した。
5 このシーンは難しくて何度も撮り直した。
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いかがでしょうか。
答えは、2番。
1、3、4、5の「直す」の意味は、
「もう一度~する」。
一方、2番の「直す」は「再評価する」と
いう意味。
「おー!うちの息子、やるじゃないか!!」
という意味になります。
もし、この「直す」が他と同じように
「もう一度~する」という意味だったら、
「もう一度見る」、つまり
「二度見する」
という意味になります(笑)
もし、この意味になるとどうなるか。
それでは、再現VTRをどうぞ。
息子:父ちゃん、母ちゃん、志望校に
合格したよ。
親 :ふ~ん、お帰り。よかった・・・
え゛ーーーーーーーーーーっ!
ま・・マジか・・あり得へんっ!!
かくして、息子は今までいかに期待されて
いなかったかを思い知るのでした。
やれやれ(笑)
もしも学習者が、「~直す」の意味を
「もう一度~する」しか知らなかったら、
「見直す」の意味を誤解してしまうかも
しれません。
結果、読解や会話の解釈がえらい方向に
暴走してしまう可能性があります。
ちゃんと教えてさしあげましょう(^_^)