実はおもしろい検定試験(ナイ形トラップ!)
今回も面白い検定試験問題をご紹介
します。
平成28年試験I問題1から。
以下、問題。
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【ナイ形】
1 ける
2 みる
3 はしる
4 ある
5 おきる
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問題1のありがたいところは、必ず
【 】内に問題を解くポイントが
記されているところ。
もうここで半分答えを言ってくれて
いるようなものなんですね。
この問題もそうで、言われたとおりに
各選択肢の動詞をナイ形にしてみれば
すぐわかります。
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【ナイ形】
1 ける → けらない
2 みる → みない
3 はしる→ はしらない
4 ある → あらない??→ない
5 おきる→ おきない
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ほとんどの選択肢は、動詞の語幹に「anai」
をつければいいのですが、
「4 ある」をそのルールに当てはめて
みると「あらない」となってしまう。
「ある」のナイ形は「ない」。
つまり、「ある」には動詞のナイ形という
ものはなく、形容詞「ない」で代用する
というわけなんですね。
きっと出題者もこの問題を通じて、
「ナイ形を指導する時は動詞『ある』に
気をつけて指導するべし。」
と暗に伝えたかったのでしょう。
検定試験対策的には、これで終わり
なのですが、
篠研的には、ここからがおもしろい。
動詞のナイ形は、初級の割と最初の方で
学びます。
初級テキスト『みんなの日本語』(全50課)
では17課。
実際の授業では、動詞のナイ形を例文と
いっしょに導入し、
ナイ形の作り方のルールを示した後、
動詞の文字カード(通常「書きます」の
ようにマス形表記)を使って、マス形から
ナイ形への変形練習をします。
概ね下のようなやり取り。
ちなみに、学習者に発話させるための教師の
合図のことを「キュー」と言います。
皆さんも、学習者のつもりで声に
出して言ってみてください。
(Tは教師、Sは学習者)
T:(「書きます」のカードを示して)
S:書かない
T:(「読みます」のカードを示して)
S:読まない
T:(「話します」のカードを示して)
S:話さない
T:(「呼びます」のカードを示して)
S:呼ばない
T:(「切ります」のカードを示して)
S:切らない
T:(「帰ります」のカードを示して)
S:帰らない
T:(「行きます」のカードを示して)
S:行かない
T:(「あります」のカードを示して)
S:あらない
T:????
S:????
オオーー!ないーーーっ!!
と、初級クラスだと99%の確率でこう
なります(笑)
これを私は「ナイ形トラップ」と呼んで
います。
これがまた、おもしろいほどはまります。
(おかげで学生から「腹黒い」と言われた
ことも爆。)
これを一発かましておけば、学習者の
脳髄に強烈に刻み込まれ、もう忘れる
ことはありません。
いかがですか?
<%%c30%%>さんも授業で試したくなった
のではありませんか?
そのためには、まず検定試験に合格する
ことが必要です。
一刻も早く検定試験に合格して、私達
のいるこっち岸に来てくださいね。
待ってまーーーす(^_^)