合格を目指すなら、合格水準の教材を選べ。

大学の後期授業が終わって、時間が
取れるようになったので、

ただ今急ピッチで、通信講座講義資料
の改訂作業をしています。

平成29年から令和元年までの過去問と
格闘しているわけですが、

つぶさに問題を分析するにつけ、

結構細かなところまで出題されている
と、つくづく感じます。

例えば、令和元年試験では、

【「ながら」節の文法制約】

が出題されています。

どういうことかというと、

複文は、主節と従属節からなるわけ
ですが、

主節に対する従属節の従属度は、
自由度の高いものから低いものまで
段階的なんですね。

ちなみに「主節に対する従属度」とは

従属節の主節に対する従属または依存の
度合のことを言います。

言い換えれば、従属節が文法的に多くの
制約を持っている場合は従属度が高い
ということであり、

逆に文法的な制約があまりない（＝文法
上自由に振る舞える）場合は従属度が低い
ということができます。

従属度については、概ね従属度が高いもの、
中程度のもの、低いもの、極めて低いもの
の４つに分けられます。

例えば、付帯状況を表す「ながら」節は
従属度の高い従属節の筆頭です。

下の例文の下線部分が付帯状況の「ながら」
節です。

（１）テレビを見ながら、ご飯を食べる。
　　　￣￣￣￣￣￣￣￣

この時、下線部の中に過去や「だろう」、
「そうだ（様態・伝聞）」などを入れること
はできません。

ましてや、終助詞の「ね」など入る隙間も
ありません。

加えて、主語を明記することもできません。

それだけ文法的な制約を強く受けている
というわけなんですね。

一方、従属度がきわめて低い従属節の筆頭は
引用を表す「と」を含んだ直接引用です。

（２）「私は田中さんが委員長にふさわしい
　　　　と思うよ。」と彼に言った。

このカギカッコでくくった部分＋「と」が
直接引用になるわけですが、

カギカッコの中は、基本どんな文法項目も
盛り込むことができます。

古舘伊知郎のプロレス中継的に言えば、

「一組のカギカッコで彩られた
　主節の手の届かないまさに四角いジャングル！
　縦横無尽の治外法権区域なのでありますっ！」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(笑)

と、ここまでは、だいたいの参考書でも
書かれていること。

で、ここからが令和元年の出題内容。

この制限の強い「ながら」節であるにもかか
わらず、その中に出現できる文法項目がある
のです。

何だと思いますか？

正解は、ヴォイス。

例えば、下の例文。

（３）電車に揺られながら、窓のその景色を見る。
　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣

言われてみれば、確かに！ですね。

古舘伊知郎のプロレス中継的に言えば、

「おーーーっと！もんどりうって倒れた
　レフリーの目を盗み、

　おもむろにパンツの中に手を忍ばせたかと
　思いきや、

　スルスルっと銀に光るヴォイスをナガラ節に
　突き刺した！

　ナガラ節の額がばっくり割れて、白いマットが
　一瞬にして血の海だァ！！」
　　　　　(ただ今、執筆時午前零時40分。苦笑)

もちろん、検定試験では（３）のような例文は
提示されていません。

試験中に、こうした例文を一瞬に思い浮かべられる
かどうかが勝負です。

ですので、ただ、

「『ながら』節の従属度は高い。ほとんどの文法
　項目は従属節中に出現しない。」

と上っ面の文面を覚えているだけでは、試験本番で
とっさに（３）のような例文が思い浮かばず、

まんまと足元をすくわれる可能性が高いということ
なんですね。

ですので、本気で合格を目指すのであれば、
合格水準のしっかりした教材で勉強するのが、
遠回りのようで実は一番近道なのです。

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