キーワード解説「ひ」

これまでの日本語教育能力検定試験に出題されたキーワードを、随時解説していきます。知識の補完・整理にご活用ください。

比喩(ひゆ)

あるものごとを言い表すために、ほかのものにたとえること。

比喩には以下のようにいくつかの種類があります。

直喩(シミリー)

「~のような」「~みたいな」といった表現を伴うことで、比喩表現であることを明示した比喩表現。例えば「リンゴのように赤い頬。」など。

隠喩(メタファー)

類似性に着目して、ある言葉を、それとは全く異なる概念領域にある言葉で表現すること。例えば、「あいつは課長の犬だ。」といえば、「あいつ」と「犬」が上司(主人)に従順だという類似性で結びついている。その他、「パンの耳」など。(これって、考えてみると随分生々しい表現ですね。)

換喩(メトニミー)

一部で全体を、あるいは全体で一部を(これを隣接関係という。)表した比喩表現。例えば、「漱石を読む」など。これは、漱石の作品(「坊ちゃん」「吾輩は猫である」「こころ」を読むということですが、一々言うのもめんどくさいので、分かりやすい一語で済ましているわけです。

提喩(シネクドキ)

上位概念で下位概念を、あるいは下位概念で上位概念を(これを包摂関係という。)表した比喩表現。例えば、「隣の家で不幸があった。」の「不幸」は隣のご家族の誰かが亡くなったという意味。人間の不幸もいろいろありますが、ここでは人の死というものを、上位概念である「不幸」という言葉で表しているわけです。その他、「隣の奥さん、おめでたなんだって。」の「おめでた」もしかりです。

これら、ちょっとカタカナの用語が多くて煩わしいですが、しっかり覚えましょう。また、比喩表現というのは、その解釈が聞き手(読み手)に委ねられてしまうため、間違って解釈してしまう可能性があります。授業で比喩表現を扱うときは、学習者が誤解しないよう、一つ一つ確認するといいでしょう。


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