なぜ日本語教師に著作権の知識が必要なのか。
教科書付属のワークブックの一部を
学習者分コピーして授業で扱う。
これ、完全に著作権違反です。
「学習者はお金がないから。」
といって教材のコピーを配布して
授業で扱うことが常態化している
ところもあるかもしれませんが、
実際にそれをやって、出版社から
著作権違反で訴えられた日本語学校
もあります。
日本語教育ではありませんが、この
ような事件もあったようですね。
中学教員、イラストを無断で学校HPに
市が作者に27万円賠償へ
https://www.asahi.com/
日本語教育界は、これから業界以外
とのかかわりも広がっていくでしょうし、
教師個人においても、SNSやインター
ネット等で情報発信することも多く
なるでしょう。
そういう時に、うっかり著作権違反を
してしまい、
ある日突然数十万円、場合によっては
数百万円の賠償金を求められたら
かなりダメージが大きいはずです。
だからこそ、日本語教師は著作権に
対する知識を持っておく必要がある
んですね。
通信講座の講義資料
「No.077 著作権」
の
「なぜ日本語教師に著作権の知識が
必要なのか」
では、以下のように述べています。
====================
なぜ日本語教師に著作権の知識が必要なのか
私たちは、日々教科書やワークブックなど様々
な教材、すなわち著作物に囲まれて活動してい
ます。
これらの扱い方を誤れば、当然著作権違反にな
ります。
また、自作教材を作成する際にも著作権のある
もの無断で使用すると、同様に違反行為となり
ます。
さらに、学習者の成果物(作文やスピーチ原
稿)にも著作権がありますので、学習者の許可
なく勝手に使用することはできません。
このように考えると、私たちは常に著作権と隣
り合わせに教育活動をしているといえるわけで
す。
「知らなかった。うっかりやってしまった。」
では済まされないケースも少なくありません。
それだけに、私たちは自分を守るためにも著作
権についての知識を持っておくことが必要なの
です。
そうしたことから、登録日本語教員が身につけ
るべき「必須の教育内容」では、新たに
「<36>著作権」
という項目が設けられました。
文部科学省(2025)は「<36>著作権」の到達目
標を、以下のように定めています。
(1)日本語教育活動を行う上で必要となる情
報資源の扱い方について理解している。
(p.13)
「情報資源の扱い方」とは、つまり「著作者の
著作権を侵害しないような著作物の適法な扱い
方」、
言い換えれば「著作権侵害にならないような著
作物の扱い方」という意味です。
ある日突然、著作者から数十万円、数百万円の
損害賠償を請求されないためにも、しっかり身
につける必要があります。
参考文献
文部科学省(2025)「登録日本語教員 実践研修・
成課程コアカリキュラム」
https://00m.in/nBydH
===================
いかがでしょうか。
「著作権違反にならない最善の方法」
それは、
「教材をすべて一からオリジナルで作る。」
です。
これだと誰からも文句は言われません。
ですが、それでは体が持ちませんよね。
著作権者は、著作物の制作を通じて
不特定多数の多くの方の負担を代行して
いるわけです。
そして、その労苦たるや。
そう考えれば、その労苦に対してしっかり
対価を払うのは当然。
むしろ、そのような著作物を作って
いただいたことに深い感謝と尊敬の念を
持つべき。
私はそう思います。