登録日本語教員制度で広がる日本語教育空白地帯(その1)

今年から始まった登録日本語教員制度。

日本語教員が国家資格になるという
ことで、業界としては大変喜ばしい
ことです。

ようやく国も日本語教育を国家事業
の1つとして本腰を入れてきた

そんな印象を受けます。

しかしながら、手放しで喜んでいい
かというと、そんなことはありません。

なぜなら、本制度により県単位で
日本語教育の空白地帯が広がる
可能性が大いにあるからです。

ひいては、空白地帯在住の日本語教師
の方は、

今後、仕事を失う可能性が極めて大
きいからです。

どういうことかというと、

これまで日本語学校に勤務するため
には、いわゆる「有資格者」である
ことが必要でした。

「有資格者」とは、

1.大学、大学院等で日本語教育を
 主専攻、ないし副専攻修了。

2.民間の文化庁受理講座(420時間)
 修了。

3.日本語教育能力検定試験合格。

のいずれかを満たした者を言います。

一般の社会人の方が日本語教師に
なるためには、通常2か3のルート
を取るのが一般的でした。

ところが、東京や大阪など大都市圏
では養成講座はいくつもありますが、

地方では養成講座がない地域もあり
ます。

私が調べたところですと、全国47
都道府県のうち、

約1/3の県では養成講座はありませ
ん。

ですが、そういう地域在住の方は
3の日本語教育能力検定試験に合格
することで資格を得ることができ、

有資格者として日本語学校に勤務
できたわけです。

そういうわけで、地域に養成講座が
なくても、その地域の日本語学校は
非常勤講師を確保することができた。

教師側からすれば、検定試験に合格
し、通勤圏内に日本語学校があれば

日本語教師として働く道があった
わけです。

ところが、登録日本語教員制度が
始まると、そういうことができなく
なります。

登録日本語教員になるためには、

1.日本語教員試験合格
2.実践研修(実習)修了

の2つをクリアしなければなりませ
ん。

1の試験合格は、個人の力でもなんと
かなります。

在住地域に養成講座がなくても、
試験ルートを使って、基礎試験と
応用試験に合格すればいい。

問題は、2の実践研修です。

通学圏内に実践研修機関がなければ、
その時点で国家資格登録日本語教師
を取得することはできず、

日本語学校で働く道は絶たれてしま
います。

そうなると、実践研修機関のない
地方の日本語学校は、

非常勤講師を確保することができ
なくなり、

結果、閉校を余儀なくされること
になるでしょう。

これは、職場がどんどん減っていく
ことを意味します。

これに対して、今のところ、国も
地方自治体も予防策を張る動きは
ほとんどありません。

一部の地方自治体で公立の日本語
学校を作る動きがある程度です。

しかも、ほんの数例。

かくして、特に地方においては
日本語教師養成の道が絶たれ、

ドミノ式に日本語学校も減って
いき、

結果、日本語教育空白地帯が広がっ
てしまう、となるわけです。

「じゃ、私の住んでいる地域は
 どうなの?」

そう思われる方も多いと思います。

次回は、その点について深堀り
したいと思います。


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