なぜ、ここで使役を使うのか。(その3)
さて、前々回のお題。
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疲れた時、寂しい時、ストレスがたまった
時に、音楽を聞いて、気持ちをリラックスさ
せるという人が多い。
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「なぜ、『リラックスさせる』と、
ここで使役を使っているのか。」
結論としては、
【視点の統一】
だったわけですが、これについて
O.M様からご質問をいただいた
のでご紹介いたします。
O.M様、ご質問をありがとうございました。
以下。
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一つ質問があります。
今日のメルマガでも記述がありました
「使役」です。
「気持ちをリラックスさせる」
・・・視点の統一についてです。
「走る」「読む」のように自他のペアが
ない動詞の時、
自動詞は使役形で、他動詞は受身形で代用
できる(「考えて、解いて、学ぶ日本語教
育の文法」スリーエー)
と勉強したことがあります。
例えば「走る」は自動詞ですが、
「私は海岸まで車を走らせた」
のようにまた、自動詞「読む」を「日記が
読まれている」のように無対自他動詞を
使役形・受身形を使って代用しています。
「リラックスする」は自動詞ですので、
「気持ちをリラックスさせる」は
使役形で他動詞の代用ができ、視点の統一
が図られると、
生徒に説明するのはいかがでしょうか。
「使役」というと、強制・許可に結びつい
て考えてしまい、
視点の統一に繋げて考えることが容易では
ないのでは、と思いました。
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なるほど。
素晴らしいご指摘ですね。
ただ、ここで
▼動詞「リラックスする」は自動詞で
あること
▼さらに「リラックスする」には対応
する他動詞がないこと
▼その場合、使役形で代用すること
を説明することは、それ自体なかなか
の工数であることや、
日本語教師以外、ほとんど考えること
のない無対自動詞に触れなければなら
ないことを考えると、
ただでさえ日本語文法、特に自動詞、
他動詞が苦手な学習者にとっては、
かなりの負担ではないかと思います。
ましてや、ここは精読の時間。
あまり文法に深い入りすると、読解
活動がどこかに行ってしまいます。
なので、ここは、学習者に
「気持ちがリラックスする」
↓
「(人が)気持ちを_____。」
のように提示して、使役形を引き出す
のがいいでしょう。
もし、学習者が
「使役と言えば、強制・許可。」
と思っているのであれば、
「いやいや、使役の意味はそれだけ
ではないですよ。
この場合の使役の意味は、(※)
です。
覚えておいてね(^_^)。」
とアドバイスすればいいのではないか
と思います。
中級レベルですので、逆に強制・許可
以外の用法も積極的に提示してあげ
ましょう。
ところで、上の※、何が入るでしょうか。
漢字2文字です(^_^)