問題解決能力より、問題指摘能力。(その2)
前回の続き。
前回、日本語教師がどうしてもプロソディ
より語音の誤用に注意が行ってしまう理由
として、
「語音の誤用は言語化しやすいけれど、
プロソディの誤用は言語化しにくいから。」
また、日本人が外国人の日本語を評価する際、
「語音の正確さよりもプロソディの正確さを
高く評価する。」
をお伝えいたしました。
このジレンマをいかに克服するかが、
発音指導のまさに肝なんですね。
実際、発音指導のノウハウはすでにかなりの
蓄積があります。
教師向けの発音指導関連の書籍であれば、
『日本語の発音教室—理論と練習』
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『音声を教える (国際交流基金日本語教授法
シリーズ2)』
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『音声教育の実践 (日本語教師のためのTIPS77
第3巻)』
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などが代表的なものですし、
例えば、ベトナム人学習者に対する発音指導
に特化したものであれば、
『ベトナム人に日本語を教えるための発音
ふしぎ大百科』
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などもあります。
中国人に対する発音指導であれば、
笈川幸司先生のノウハウが秀逸。
超熱血日本語教師 笈川幸司先生
講演会1/5
https://00m.in/Pzvpp
もうかなり発音指導の答えがあるん
ですね。
これらに沿って指導をすれば、たいてい
の発音の問題は
(矯正に多少時間がかかったとしても)
解決するんです。
問題は、日本語教師が目の前の学習者
の発音に接したときに、
▼どこに発音上の問題点があるのか。
▼指導上、優先順位の高い発音上の
問題点は何か。
を的確に指摘することが重要なのです。
つまり、発音指導において日本語教師
に求められるのは、
【問題解決能力ではなく、問題指摘能力】
なんですね。
ここを間違って、
「指摘しやすいんだけれども、
優先順位の低い音声上の問題点。」
に注力した発音指導をしてしまうと、
仮に練習を重ねて改善されたとしても、
改善が微差に止まってしまうので、
学習者は、成長実感を感じられずに、
「先生、日本語の発音は難しいんですね。
もう、いいっス。」
となって、やめてしまうのです。
まさに、ボタンの掛け違い。
だからこそ、冒頭で述べたジレンマを
日本語教師は克服しなければならない
わけなんですね。
ご理解いただけましたでしょうか。
次回の
篠研の篠崎大司セミナー
「ミニ実習授業あり!
指導の引き出しが増える!みるみる発音がよくなる!
発音指導の基本」
では、実際の留学生の発音上の問題、
そして、指導案を検討し、
実際にミニ実習授業をします。
受講生の方がどんな指導案と発音指導を
するか、とても楽しみです(^_^)