新試験、必須の教育内容と到達目標とは?(前編)
去る11月24日、文化庁にて
文化審議会国語分科会日本語教育小委員会
(第122回)
が開かれました。
ここでは、来年度から始まる新制度施行に向け、
認定日本語教育機関の認定基準や登録日本語教
員制度について議論されました。
(というか、急がないともう12月だぞ(苦笑))
今回は、そこで配布された資料のうち、
おそらく皆さんが最も関心のある日本語教員
試験の出題範囲に関わる
「必須の教育内容と到達目標」
についてご紹介します。
かなり長くなりますので、前編と後編に
分けてお届けします。
結論から言えば、出題範囲は令和4年以降の
日本語教育能力検定試験と同じですので、
従来の対策をしっかりとっていただければ
問題ないかと思います。
試験が変わるからといって、何もかも
ガラッと変わるわけではありません。
倦まず、弛まず、焦らず。
地道にコツコツ勉強した者が最後は
勝つのです。
とはいえ、
「敵を知り、己を知らば百戦危うからず。」
やはり、相手を知ることは重要です。
以下。
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1 世界と日本
<1>世界と日本の社会と文化
◎国際的な活動を行う言語教育者としてグ
ローバルな視点から日本語教育を捉えるた
めに、国際社会の情勢・人の移動と日本と
の関係、日本及び多様な国・地域の社会・
文化について理解している。
2 異文化接触
<2>日本の在留外国人施策
◎在留外国人の現状やその動向、並びに日本
の在留外国人施策について理解している。
<3>多文化共生
◎国・地方自治体、地方公共団体の多文化共
生施策や地域社会における学習者と周囲と
の接触の状況を理解している。
3 日本語教育の歴史と現状
<4>日本語教育史
◎日本や他の国・地域との関わりを視野に入
れた日本語教育の歴史について理解してい
る。
<5>言語政策
◎日本や他国の言語政策について理解してい
る。
<6>日本語の試験
◎学習者のキャリア等を考える上で必要とな
る日本語能力を評価する試験等について理
解している。
<7>世界と日本の日本語教育事情
◎学習者の日本語学習動機や自国での学習状
況を知るために、日本国内及び主要な国・
地域の日本語教育の状況を理解している。
4 言語と社会の関係
<8>社会言語学
◎同一言語内における言語変種とその要因及
び言語が使用される社会における言語使用
の実態や、言語行動を支える社会的・文化
的慣習について理解している。
<9>言語政策と「ことば」
◎社会、文化、政策と言語との関係を理解し
ている。
5 言語使用と社会
<10>コミュニケーションストラテジー
◎社会生活における言語活動を達成するため
の言語的な方略(ストラテジー)や会話を
成立させるための仕組みについて理解して
いる。
<11>待遇・敬意表現
◎様々な社会的状況において社会や集団にお
いて求められる待遇表現について理解して
いる。
<12>言語・非言語行動
◎コミュニケーションにおける言語的な行動
及び非言語行動の様相について理解してい
る。
6 異文化コミュニケーションと社会
<13>多文化・多言語主義
◎多言語多文化社会について理解し、学習者
が日本語を使うことにより社会につながる
ことを意識し、共生社会の実現に向けて日
本語教育が果たす役割を教育的観点からも
理解している。
7 言語理解の過程
<14>談話理解
◎学習活動を効果的に実践するために、談話
理解の過程や仕組みについて基礎的な知識
を理解している。
<15>言語学習
◎日本語学習支援を効果的に行うために、学
習の仕組みや学習環境などの基礎的な知識
について理解している。
8 言語習得・発達
<16>習得過程
◎日本語学習支援を効果的に行うために、言
語の習得過程や学習者要因について理解し
ている。
<17>学習ストラテジー
◎学習ストラテジー等、個々の学習者に合わ
せた日本語教育を考え、言語学習の効果を
高める方法に関して理解し、学習者の自律
的な学習を促進することができる。
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いかがでしょうか。
「なんだ、今まで聞いたことのある話ばかり
じゃないか。」
そう思っていただければ幸い。
新試験だからといって、焦る必要なまったく
ないのです。