母語別に学習者の誤用を真似てみる。
篠研の日本語の教え方セミナーでは、
今年度に入って、日本語教材の著者の
先生にご登壇いただき、
1日目には教材説明と著者の先生直々
の模範授業を、
2日目には参加者の方で教師役と学習者
役になって、模擬授業をしています。
おかげさまで、
「明日の授業ですぐ使える超実践的
内容。」
と、毎回大変高い評価をいただいて
います。
で、何回かやってみて気がついた
のですが、
2日目の模擬授業、授業をする教師役
もさることながら、
学習者役が案外難しい。
学習者役になり切れないのです。
発音も文法も、どうしても日本人の発話
になってしまう。
例えば、ベトナム人の学習者役であれば、
ベトナム人特有の発音の癖を再現しないと
模擬授業に臨場感が出ない。
中国人の学習者役であれば、「NのN」の
使い方が間違っていたり、
助詞が抜けたり、教師と話しているのに
普通体ベースで話したりしないと、
教師側に本番さながらの対応力は身につ
かないわけです。
ですが、やってみるとわかりますが、
これがなかなか難しい。
1つは、これを実現するためには、
学習者の日本語の誤用を母語別に理解
していなければなりません。
専門書からの知識もさることながら、
普段からどれだけ学習者の日本語を観察
しているかが問われるわけです。
また、教師の発想として、
普段正しい日本語をアウトプットする
ことはしていても、
あえて正しくない日本語をアウトプット
するということは、あまりしていない
のではないでしょうか。
ですが、これをやってみるととても勉強
になります。
なぜなら、
▼その母語話者特有の誤用
▼母語に関係なく出現する誤用
▼学習段階で出てくる誤用
というのを、いろいろ考えて演じる必要
があるからです。
私も今回の
篠研の仲山淳子セミナー
「著者直伝!模範授業見学あり!
『日本語文法ブラッシュアップトレーニング』
を使った中級文法授業の進め方」
2日目の中で、
中級レベルの韓国人学習者のパクジョンヨン君
(仮名)を演じましたが、
▼「ツ」が「チュ」になる。
▼波型イントネーションで話す。
▼不要なところで「んですから」を使う。
▼助詞の「に」と「で」を間違える。
▼「いいだと思います。」と言う。
などなど。
いろいろ考えながら演じました。
おかげで、普段指導している学習者の日本
語を振り返る、いい経験になりました。
皆さんも、普段指導している学習者の日本
語を母語別に真似てみてください。
たくさんの気づきがあると思います。