中級以上の精読授業をうまく進めるコツ。
日本語教師の方のお話をいろいろ
お聴きすると、
「精読授業が苦手。」
という方が多いようです。
私としては、精読授業ほど知的刺激に
満ちた面白い授業はないと思っていて、
そのノウハウを本メルマガの特典
「精読指導の秘奥義」
https://www.kanjifumi.jp/54yb
にまとめてお届けしているわけですが、
それでもなお、
「思うような授業ができない。」
という方がいらっしゃると。
で、いろいろお話を聞いてみると、
「うまく説明できない。
学習者をうまく誘導できない。」
というお声をよくいただくわけですね。
「なるほど。」
私のセミナーをよく受けていただいて
いる勘の鋭い方であれば、ピンとくる
かと思いますが、
それは、かなりの確率で
「説明している」
のが原因。
同じ文章を読んでも、教師と学習者
では、捉え方や解釈の仕方が違う
わけですから、
教師が説明という手法で自分の解釈を
学習者に押し付けても、
学習者は、別のことを考えているわけ
ですから、にわかに理解できるはずが
ありません。
彼らは彼らで文章を読みながら思考して
いる最中ですので、
場合によっては教師の説明を聞いて
いないことすらあるわけです。
これでは、いくら説明しても行き違い
の嵐。
うまくいくはずがありません。
では、どうしたらいいのか。
それは、説明ではなく【質問】を
ベースに授業を展開すること。
一文一文、文章を読みながら、教師
が適切な質問を随時学習者に投げか
けることにより、
学習者はその質問に答えようと、
文章を読んで理解しようとする。
つまり、質問を通じて学習者を正しい
読み、正しい理解に誘導するわけです
ね。
そして、教師は、学習者が正しく答え
れば、
「ここは理解している。」
と判断でき、どんどん先に進め、
正しく答えられなければ、
「なるほど。ここがわかっていない
のか。」
と判断して、さらに理解を促す質問
なりヒントなりを学習者に投げかけ
ればいい。
そうして、どんどん読みを進めていく
のです。
この手法は、私だけのものではなく、
これまでご案内している
篠研の亀田美保セミナー
「著者直伝!模範授業見学あり!
『テーマ別中級から学ぶ日本語 三訂版』
を使った中級授業の進め方」
(5月14日・21日開催)
https://www.kanjifumi.jp/kameda_seminar/
の亀田先生の授業の進め方もまったく同じ。
先日、本セミナー用に第1課精読の
模範授業を収録したのですが、
亀田先生は、まさに初見の留学生に
見事な質問型授業をなさっていました。
この指導技術は、単に
『テーマ別中級から学ぶ日本語 三訂版』
だけでなく、
すべての読解を中心と知った中級教材に
通用する技術。
精読授業が苦手という方には、ぜひ
亀田先生の模範授業をご覧いただきたい
と思います。
もちろん、模範授業を見るだけでは
表面的な理解に止まってしまい、再現性
がありません。
ですので、亀田先生の精読授業に対する
考え方、基本的なスタンスにもしっかり
耳を傾けていただきたい。
そう思います。
私自身、精読授業の技術はすべて、この
『テーマ別中級から学ぶ日本語』
から学ばせていただきました。
ここに、中級精読授業のエッセンスが
凝縮されています。
精読の授業は、本当に病みつきになる
ほど面白いです。
いい意味で学習者の世界観、価値観に
ヒビを入れ、授業を通じて彼らに
アハ体験を体現させる。
その時の学習者の顔は、絶対忘れられ
ないですよ(^_^)