師を選ぶ際の判断基準。
前回
「良薬は口に苦し」
から、
「守破離」
へとお話をし、
最後に「師」の選択の重要性を指摘させて
いただきました。
これはもう、どれだけ言っても言い足りない
ほど重要なことで、
検定試験の勉強も含め、物事の成否は
どんな師につくかで9割決まると言っても
過言ではありません。
では、どんな判断基準で師を選べばいい
のか。
まずは、最低ラインとしてその道で10年
以上のキャリア、実績があることです。
できれば、20年以上あるのが望ましい
です。
10年未満だとどうしても経験値が足りま
せん。
経験値が足りないと、どうしても思考や
ビリーフに偏りが出てしまいます。
10年、20年と経験を積み、さまざまな
学習者や教師仲間、業界の変化を目の当
たりにすることによって、
徐々に思考に円熟味が出てきます。
十牛図でいうところの第10図「入鄽垂手
(にってんすいしゅ)」のフェーズです。
そして、次に重要なのが、
「日本語教育の諸々を初学者でもわかる
よう、ロジカルでわかりやすい言葉を
持っていること。」
これが、師を選ぶ第二の重要な判断基準
です。
皆さんの中には、高名な日本語教育の
先生の講座を受けたものの、
話しが難しすぎ、あるいは抽象的過ぎて
てよくわからなかったという経験はあり
ませんでしょうか。
それは、あなた様が悪いわけではありま
せん。
その先生が
「相手の理解力にあわせて伝える言葉」
を持っていないからです。
たとえ10年以上のキャリアや実績があっ
たとしても、
例えば、ずっと一人研究室で難しい専門
書相手に研究ばかりやってきて、
それを分かりやすく相手に伝える訓練を
していないならば、
その先生の話は一般人には難しすぎて、
よくわからないでしょう。
よくわからないということは、必要な
情報がちゃんと伝わっていないという
ことですから、
相当なロス、受ける側からすれば、
難行苦行の何物でもありません。
そうならないために必要なことは、
その先生が、書籍やサイト、ブログ、
SNSなどで、どんな言葉を使っているか
確認することです。
私の場合、人前でお話させていただく
際には、井上ひさしの言葉
「むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまで
ゆかいに」
を信条にお話させていただいています。
これら2つのフィルターを通した後は、
・素直に尊敬できる先生
・将来の理想の自分を体現している
先生
を師に選べばいいでしょう。
最後に、優れた師の共通点をご紹介
します。
『論語』巻第十 子張第十九の一節。
「子夏が曰わく、君子に三変あり。
これを望めば厳然たり。
これに即(つ)けば温なり、
其の言を聴けばはげし。」
〔現代語訳〕
「子夏が言った、
「君子には三種の変化がある。
離れて見るとおごそかで、
そばによるとおだやかで、
そのことばを聞くときびしい。」
ご参考になれば。