習得すべきは問題解決能力ではなく、問題●●能力。
日本語教育では、
「問題解決能力を身につけよ。」
ということがよく言われます。
例えば、日本語教育能力検定試験の
試験IIIの測定内容では、
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原則として出題範囲の区分横断的な設問に
より,熟練した日本語教員の有する現場対
応能力につながる基礎的な問題解決能力を
測定する。
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と明記されています。
また、養成講座に通った方や大学で勉強
なさった方の中には、担当の先生から、
「日本語教育の現場では雨あられのように
問題が振りかかってくる。
それだけに、教師には高い問題解決能力が
求められるのよ。」
と言われた方も多いと思います。
確かにその通りです。
私も25年間、雨あられのような問題に
晒されてきました(苦笑)。
ですが、25年間日本語教師をやってきて
逆に皆さんにお伝えしたいのは、
「問題解決能力を身につけよ。」
という言葉をあまり真に受けてはいけない、
ということです。
なぜか。
「問題解決能力を身につけよ。」
という言葉を真に受けてしまうと、
もっと言うと、最初から
「問題解決能力を身につけよ。」
ありきで物事を考えてしまうと、
ますます我が身に容赦なく問題が振り
かかり、
結果、抱えきれない問題に押し潰されて
しまう可能性が極めて高いからです。
どういうことかというと、
「問題解決能力を身につけよ。」
ありきで物事を考えてしまう
↓
身の回りのさまざまな問題が目に付く。
↓
「問題を見つけた以上、解決せねば。」
と、男気スイッチが入る。
↓
さらに、いろいろな問題が目に付く。
↓
「これは大変!この問題を解決せねば。」
と、さらに男気スイッチが連打で入る。
↓
気がついたら、山のような問題を抱えて
しまった。
↓
もう無理(そして、潰れる。)
というパターンです。
では、こうならないためには、どうしたら
いいか。
まず、
「その問題は、そもそも誰が解決すべき
問題か?」
ということを、一度立ち止まって冷静に
考えてみることが大切です。
そうすると、その問題は本来
学習者が解決すべき問題であったり、
クラス担任が解決すべき問題であったり、
はたまた、学校経営者が解決すべき
問題であったり。
少なくとも、自分が解決すべき問題では
ないケースが多いということに気づくの
ではないでしょうか。
残念ながら(というか、当然ですが)
学習者が解決すべき問題は、学習者自身が
解決しなければ、根本的な問題解決には
なりませんし、
クラス担任が解決すべき問題は、クラス
担任自身が解決しなければ、根本的な問題
解決にはなりません。
ましてや、学校経営者が解決すべき問題は
学校経営者自身が本気で解決に乗り出さな
ければ根本的な解決には繋がらないのです。
つまり、私たちが問題解決能力を身に
つけたり行使したりする前に、
「その問題は、そもそも誰が解決すべき
問題か。」
という【問題分別(ぶんべつ)能力】を
身につけることが大切なのです。
そして、その結果、自分が解決すべき
問題ではないという結論に至ったならば、
一目散にその問題から逃げること。
つまり、【問題回避能力】を身につける
ことも大切です。
孫子の兵法にも
「三十六計逃げるに如かず。」
とありますが、まさにその通りなのです。
ですが、話はこれで終わりません。
もう1つ、身につけるべき重要な能力が
あるのです。
続きは、次回に。