アマの教師とプロの教師の決定的な違い。

昨日の大学の授業「日本語教育概論」で
受講生(ほとんど日本人)に話した話から。

アマの教師とプロの教師の決定的な違い
とは何か。

当たり前の話ですが、

アマはお金をもらわずに授業をし、
プロはお金をもらって授業をする。

以上(なんて(笑))。

ですが、これをより深掘りして考えると
アマとプロの本質的な違い、

もっと言うと、仕事のレベル感の違いが
より深く理解できます。

もちろん、個人レベルで言えば様々ですが、

ここで問題にしているのは、そういうこと
ではなく、

基本的な立ち位置、立場とでもご理解くだ
さい。

まず、アマの教師はお金をもらう必要が
ないわけですから、自分本位の授業をする
ことが許されます。

なぜなら、タダで授業をしているから。

仮に学習者からクレームが来ても、
(そもそも対価を払わない学習者にクレー
 ムを言われる筋合いはないですが。)

「私が嫌なら他の先生のところに行って。」

と言えば済む話です。

一方、プロの教師は学習者からお金をいた
だいている以上、自分本位な授業をするわけ
にはいきません。

学習者に評価されなければ信用を失うし、
何より収入が減って生計がたたなくなるから
です。

だから、学習者から高評価を得、リピーター
になっていただき、

さらなる顧客を紹介していただくためには、
徹底的に学習者本位にならなければなりま
せん。

もうこの時点で、プロとアマで本気度が全然
違うのがお分かりいただけますでしょうか。

極論すると、アマの教師のゴールは自己満足
であり、承認欲求を満たすことにあります。

それが悪いというわけではありません。

というか、私はそれでいいと思っています。

逆に、ボランティアにスペックを求める
のは、求める方がむしろ卑しいとさえ
思います。

教師のスペックに対する対価を払おうと
しないわけですから。(いわば無銭飲食)

一方、プロの教師は顧客満足度を高める
べく、

学習者に自発的、自律的に勉強するよう
上手く誘導し、

教師の働きかけもさることながら、

あたかも自分の努力によって日本語力が
上がったと思わせるように仕向けていか
なければなりません。

そうしないと、学習者の中で自己肯定感や
自己達成感が盛り上がらないからです。
(↑ここ、すごい大事。)

上の話、一見、矛盾しているのがお分かり
いただけますでしょうか。

・自律的に学習・・・誘導し、
・自分の努力によって上がったと
            ・・・仕向ける

この一見矛盾するようなことをやって
のけるのが、プロ教師の仕事のレベル感。

では、どうするのか(ここからが本題)。

プロの教師は、学習者の頭の中に手を
突っ込んで、

彼らの無意識の領域や思考経路を、当の
学習者すら気づかないレベルで上手に
コントロールしながら授業を進めるのです。

プロの教師は、

・自分がどのように振舞えば、学習者は
 どのように感じるのか。

・自分がどんなタイミングで何を言うと、
 学習者は何をどう考え、どう反応する
 のか。

・自分がこの問題でどんなヒントを出すと、
 学習者の脳のどんな既有知識が活性化
 されて正解を導くことができるのか。

など、すべて熟知、すべて計算して授業を
しています。

だから、教案作成の際、プロ教師は教師
目線ではなく、

常に徹底した学習者目線で授業をシミュ
レーションしながら授業を設計し、授業に
臨むのです。

そして、実際の授業では、教案通りに
学習者の理解が進んでいるか、

逐一(でもごく自然に)質問しながら、
その返答によって彼らの理解度を察知し、

理解度に応じた適切な刺激を彼らの脳に
打ち込み、

彼らの思考を小まめに微調整しながら、
うまく思考誘導しているのです。

「学習者の頭の中に手を突っ込んで」

とは、つまりそういう意味です。

学習者からすれば、無理に頑張って勉強
したというよりは、

「●●先生の授業を受けると、なぜか
 わからないけど、日本語がよく分かる。
 知らないうちにどんどん上達する。」

といった感覚になるのです。

無意識の領域をいい意味で操作されている
ので当然といえば当然。

そりゃ行列もできますよね、という話。

ちなみに、上記の理屈を熟知しているプロの
教師は、

例えば、学習者が問題行動を起こした時、

問題行動そのものよりも、そうした言動を
生んだ彼らの思考の方に注目します。

フォーカスしているところが違うんですね。

何かの参考になれば。


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