吉野家の採用説明会参加拒否問題はなぜ起きたか。

吉野家の外国籍(と思われる、というか勘違い
も含めて)大学生に対して

採用説明会参加を断るメールが送られたという
問題が今メディアを騒がせています。

◆吉野家 採用説明会で外国籍との判断を理由に
 大学生の参加断る:NHK NEWS WEB
 https://bit.ly/3PcmziS

このニュースを見て、

「担当の留学生が同じような目に遭って
 ほしくない。」

と感じた方も多いでしょう。

実は、吉野家は本件だけでなく、この1か月半ほど
立て続けに不祥事を起こしています。

◆吉野家、男塾コラボ特典「丼」で謝罪 8カ月220回
 来店した猛者に「非情仕打ち」ゴタゴタの内幕
 https://bit.ly/3l24vKh

◆吉野家HD 女性を蔑視する不適切発言の常務取
 締役解任を発表
 https://bit.ly/3Fy7HXH

どうして吉野家はかくも立て続けに不祥事を
起こしてしまうのか。

「私達は日本語教師だから採用説明会の件だけ
 理解していればいいんじゃないか。」

と思われるかもしれませんが、私はそうは
思いません。

なぜなら、これだけ短い期間に複数件起こる
ということは、

決して偶然によるものではなく、企業内に
何か急激な変化が起こり、

そのひずみがこうした事案となって表面化した
可能性が高いからです。

その深さの如何によっては、就活中の留学生へ
のアドバイスも大きく変わってくるはずです。

だから、私たち日本語教師も全体を見なければ
ならないのです。

今回の吉野家の一連の不祥事の原因について
こんな記事があります。

◆なぜ吉野家は「炎上3連チャン」をやらかした
 のか わずか1カ月半の間に
 https://bit.ly/3yvrcPg

要は、企業収益の向上と、そのための業務の
効率化に走ったため、

これによって人員削減やコストカットされた
部門の仕事がどうしても雑になり、

今回のような結果を招いたということなのです。

実際、吉野家をはじめとする牛丼屋チェーンの
価格競争は限界まで来ており、

今や牛丼そのものでは利益が出せないレベル
まで価格が下がっているため、

他のサイドメニューで利益を確保している
という話を聞くほど。

ただ、私としては、今回の説明会問題はおそらく
上層部と末端の現場の間で、外国人採用に対する
コンセンサスができていなかった、

加えて、外国人を受け入れる体制ができていな
かった結果なのではないかと考えています。

上層部としては、今後グローバル企業として
スケールするためには、外国人材の積極採用は
避けて通れない。

また、流行りの「ダイバーシティ」を謳うことで、
企業ブランドのアップも見込めると。

「あとは基本的には日本人社員と同様に雇用
 すればいいんじゃないの。」

ぐらいに考えていたのではないかと思います。

しかし、外国人材採用には、まずもって業務に
あった在留資格の申請が必要です。

つまり、採用前にどのような業務にあたらせるか、

また、それが入管法に沿ったものかをあらかじめ
確認しておかなければなりません。

さらに、外国人社員の場合、入社後の業務も在留
資格の範囲内に限られるので、自由な配置転換も
難しい。

最初に営業をやらせて、次に製造部門に回して、
その後、マーケティング部からの商品開発部、
などということはできないのです。

(もちろん在留資格によってはできる場合も
 あります。)

つまり、日本人社員とは別の社内キャリアアップ
のルートを作っておかなければならないわけです。

そうなると、当然その中で昇進・昇給ができる
公正な人事評価制度の整備も必要になってくる。

ダイバーシティというと格好いいですが、
現実は、相応に手間とコストがかかるし、
社独自のノウハウの蓄積も必要なのです。

そうした体制整備をしないまま、

「じゃ、あとは現場でよろしく。」

と丸投げされれば、現場はたまったものでは
ありません。

結果、外国人採用についての知識もノウハウも
不十分なまま、前年に日本人と同じように
内定を出し、

いざ入社、いざ在留資格申請の段になって、

「申請許可が下りない。どうしよう。」

となり、それがトラウマになって今回のような
不祥事が起きたとも考えられるわけです。

要は

「外国人採用の前に、社長から平社員まで、
 現有の日本人社員のダイバーシティに対する
 勉強をもっとしておくべきだったね。」

という話。

いいか悪いかはともかく、

現実問題として、このような問題が起こる
世の中なわけですから、

「私たち日本語教師も最低限の知識は持って
 おきましょう。」

ということで、去る4月23日に実施たのが、

篠研企画 村崎 加代子オンラインセミナー
「日本語教師のための在留資格法令
 -法的知識に沿った適切な進路指導をする
  ために-」

であり、

「企業サイドの論理も知っておくべき。」

ということで、来る5月29日に実施する
のが、

篠研企画 工藤尚美セミナー
「外国人材の受入れ状況と、企業が求める
 日本語研修
 -日本語教師が企業向け研修を行う際に
 知っておくべきこと-」

篠研企画 工藤尚美セミナー「外国人材の受入れ状況と、企業が求める日本語研修-日本語教師が企業向け研修を行う際に知っておくべきこと-」(5月29日開催)

というわけです。

今後、外国人材を採用する企業は一段と増え
ると思われます。

その一方で、ただでさえ急激な業務の効率化、
コスト削減に迫られる中、

第二、第三の吉野家が出てきても決して
不思議ではありません。

であれば、就活中の学習者を路頭に迷わせ
ないためにも、

私たち日本語教師も、在留資格や外国人採用
に関する基本知識は備えておくべきではないか
と思います。


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