令和3年の在留資格取消件数とその具体的事例。
先月の3月29日、出入国在留管理庁が
▼令和3年の「在留資格取消件数」について
https://bit.ly/37naVAK
を発表しました。
以下、引用。
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令和3年に出入国管理及び難民認定法第22条の
4第1項に基づく在留資格の取消しを行った件数
は800件で、前年に比べ410件(33.9%)
減少となった。
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減少した主な原因は、コロナ禍によって
外国人の入国が制限され、
結果、そもそも国内の外国人数がかなり
減少したからではないかと思います。
また、引用中に出てくる
「出入国管理及び難民認定法第22条の4第1項」
は、在留資格の取り消しに関する条項で、
取り消しができる項目として、実に10項目が掲げ
られています。
出入国在留管理庁のホームページでは、
さらに以下のように述べられています。
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1 令和3年の在留資格取消件数は800件でした。
これは令和2年の1,210件と比べると
33.9%の減少となっています。
2 在留資格別にみると、「技能実習」が585件
(73.1%)と最も多く、次いで、「留学」
が157件(19.6%)、「日本人の配偶者
等」が18件(2.3%)となっています。
3 国籍・地域別にみると、ベトナムが490件
(61.3%)と最も多く、次いで、中国
(注1)が136件(17%)、インドネシア
が32件(4%)となっています。
4 出入国管理及び難民認定法第22条の4第1項
各号の取消事由別にみると、第6号が496件
(62%)と最も多く、次いで、第5号が
253件(31. 6%)、第2号が36件
(4.5%)となっています。
(注1) 中国には、台湾、中国(香港)及び中国
(その他)は含まない。
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学習者が失踪することを、日本語教育業界では、
「もぐる」といいますが、
在留資格を取り消された外国人の中には、
一度もぐった後、何らかの理由で警察の
知れるところとなり見つかった、
そして、在留資格が取り消されたという人も
いるでしょう。
本ホームページの中の
「令和3年の「在留資格取消件数」について」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001370225.pdf
では、実際に在留資格を取り消された事例が紹介
されています。
その一部を紹介します。
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○ 入管法第22条の4第1項第5号
入管法別表第1の在留資格をもって在留する者が、
正当な理由なく在留資格に応じた活動を行ってお
らず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在
留していること
【事例】
・ 在留資格「留学」をもって在留する者が、学校
を除籍された後、当該在留資格に応じた活動を
行うことなくアルバイトを行って在留していた。
・ 在留資格「技能実習」をもって在留する者が、
実習先から失踪し、当該在留資格に応じた活動を
行うことなく他の会社で稼働して在留していた。
○ 入管法第22条の4第1項第6号
入管法別表第1の在留資格をもって在留する者が、
正当な理由なく在留資格に応じた活動を3月(高
度専門職は6月)以上行わないで在留していること
【事例】
・ 在留資格「留学」をもって在留する者が、学校
を除籍された後、当該在留資格に応じた活動を
行うことなく3か月以上本邦に在留していた。
・ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもっ
て在留する者が、勤務先を自己都合退職し、当
該在留資格に応じた活動を行うことなく3か月
以上本邦に在留していた。
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いかがでしょうか。
もし、取り消された彼らが、取り消し条項につい
ての知識を多少なりとも持っていたら、
もしかしたら、どこかで思いとどまり、在留資格
取消という最悪の事態を免れたかもしれません。
そう考えれば、
彼らの身近にいる私たち日本語教師は
こうした知識をしっかり持ち、
折に触れ学習者に伝えることが触法行為を
防ぐことに繋がるのではないかと思います。
「転ばぬ先の杖」
と言います。
将来、自分の教え子を誤った方向に進ませ
ないためにも、
村崎先生のセミナーにぜひご参加ください。
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