【再掲】令和4年新出題範囲の新傾向・変更点(1)
前回から始まった、令和4年検定試験
新出題範囲関連記事再掲シリーズ。
ここ最近、弊メルマガ読者の方や、
篠研の通信講座の会員様から、
「令和4年度検定試験から出題範囲が
変わるというのが、気になる。」
というメールをいくつかいただきました。
そこで、数回にわたって本テーマについて
弊メルマガで扱った過去の回を再掲します。
2回目の今回は、2021年11月17日に配信した
vol.125
「令和4年新出題範囲の新傾向・変更点(1)」
をお送りします。
以下。
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これまで何度もお伝えしてきましたが、
令和4年日本語教育能力検定試験から
出題範囲が新しくなります。
具体的には、これまでの出題範囲から、
平成30年に文化庁が出した
「必須の教育内容」
に基づいて出題されることになります。
詳しくは、こちら。
日本語教育能力検定試験の出題範囲の
移行について
http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R4syutsudai.pdf
ですので、
「これから検定試験の勉強をする。
でも、どの講座を選んだらいいのか
わからない。」
という方は、
まずは、新出題範囲を完全に網羅した
講座を選ばないとかなり高い確率で
失敗します。
少なくとも、これまでの試験の合格者数
で選んではいけません。
そもそも試験内容が違うからです。
ところで、これまでの出題範囲と新しい
出題範囲では、具体的に何がどう違う
のでしょうか。
とても気になるところですよね。
そこで、今回から数回にわたって、
「令和4年新出題範囲の新傾向・変更点」
と題して、お話をしようと思います。
第1回目の今回は、
「『誤用分析』から『中間言語分析』へ」
です。
これまでの検定試験の出題範囲では、
「誤用分析」という項目がありました。
具体的には、「4 言語と教育」内の
「1.言語教育法・実技(実習)」内の
項目7です。
ところが、新出題範囲では「誤用分析」
という項目はありません。
かわって、「中間言語分析」という
項目があります。
名称こそ変わったものの、おそらく
中身はさほど変わらないと思われます。
なのに、なぜ名称が変わったのか。
これは、誤用に対する考え方がこの
10年で大きく変化したからと考え
られます。
かつての誤用は、第二言語学習を
妨げる悪しきものでした。
従来の考え方は、要は、誤用は学習者が
教師の教えたとおりにしないから引き
起こされるもの。
ところが、現在の第二言語習得論では、
「学習者は、学習の途上で母語とも日本
語とも違う独特な言語体系)(=中間
言語)を形成する。
その言語体系をブラッシュアップする
過程で、学習者はさまざまな試行錯誤
を行う。
その結果、どうしても表面的に誤用が
現れてしまうが、それは学習者なりに
学びをしている証拠なのだ。
だから、誤用は悪いものではなく、
むしろ評価すべきものなのだ。
と同時に、誤用は学習者の中間言語を
反映したものである。」
という考え方に変わってきました。
確かに「誤用」と言ってしまうと
どうしても「悪いもの」というイメージ
が拭えませんよね。
というわけで、「誤用研究」ではなく、
「中間言語研究」という用語に変更した
のだと考えられるわけです。
このように、出題範囲の変更点を見て
みると、
日本語教育学の変化や潮流が垣間見れて
面白いですね。