『みんな』の問題で迷ったらすぐ文法翻訳に立ち返る。
以前、「篠研の検定対策」会員の方から、
以下のようなご質問をいただきました。
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いつもお世話になっております。
みんなの日本語初級IIの218ページの3)
の問題
バリへ(a行けば b行ったら c行くと)
ダンスが見たいです。
の解答はbですがaでも言いと思うのですが、
いかがでしょうか?
文法解説を読むと 行けば=仮定 のよう
です。
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『みんなの日本語』の復習問題や標準問題
集をやっていると、
「正解はaだけど、bでもいいんじゃないの?」
と思うとき、ありませんか。
ですが、そういう問題が設定されている
ということは、なにがしかの知識を問う
意図があるからです。
そして、その知識は、問題を解く前に
ちゃんと文法翻訳書を通じて学習者に
提示されています。
だから、教師のほうも、もし『みんな』の
問題で迷うものがあれば、
授業準備の段階で真っ先に文法翻訳書に
立ち返るということが大切なんですね。
例えば、上の問題でも正解は明らかにbで、
aは間違いです。
「~ば~」の場合、後件に意思や希望、
命令表現が来るのは、前件と後件の主語が
違うか、
あるいは前件の述語が状態を表わす場合に
限られます。
このことは、文法翻訳書p.66にも以下の
ように説明されています。
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As a rule, intentions, hopes, orders,
requests, etc.
only appear in the following (main) clause,
when the subjects of the preceding and
following clauses are different (as in
Example 2 ) or when the predicate of the
preceding clause is conditional ( as in
Example 3 or 5 ).
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また、次ページにも以下の例文で「~ば~」の
使い方について注意を促しています。
(9)×東京へ来れば、ぜひ連絡してください。
この問題は、この部分の理解を問うていると
いうわけですね。
「『みんな』の問題で迷ったらすぐ文法翻訳に
立ち返る。」
ここを徹底しないと、学習者から、
「先生、そんなことも知らないんですか。
ちゃんと文法解説書にあるじゃない
ですか。」
と言われかねませんから(笑)。