『日本語教育の推進に関する基本的方針』を読む(その11)

『日本語教育の推進に関する基本的方針』を読む

の第11回目です。

報告書はこちら。

日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進
するための基本的な方針の閣議決定について:文化庁
https://bit.ly/3hTmIai

今回は、

「第2章 日本語教育の推進の内容に関する事項」

の9回目。

「4 教育課程の編成に係る指針の策定等
5 日本語能力の評価」
についてみていきます。

特に、「5 日本語能力の評価」というと、

「えっ!日本語能力試験なんじゃないの?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに日本語能力試験は世界最大規模の日本語の試験。

それはそれで、高いプレゼンスを持っています。

ですが、日能試の欠点は「話す力が測れない」こと。

コミュニケーション能力の中でかなりの重要な「話す力」
が測れないというのは、やはり大きなビハインドなん
ですね。

じゃあ、どうするか。

では早速。

以下、引用。

============================

4 教育課程の編成に係る指針の策定等

我が国に在留する外国人等にとって,自立した言語使用者
として生活していく上で必要となる日本語能力を身に付け,

日本語で意思疎通を図り,生活できるようになることが必
要であるが,

出身,文化,年齢,在留資格,職業,滞在目的等の多様化
が進み,日本語の学習を希望する外国人等が望む日本語教
育は一様ではない。

国内外を行き来する多様な日本語学習者及び日本語教師を
はじめとする全ての日本語教育関係者が参照し,

生活,就労,留学といった外国人の活動状況に対応した日
本語教育の基準や目標を定めることが可能となるよう,

学習,教授,評価に係る日本語教育の包括的な枠組みを示
すとともに,

これを踏まえ,日本語能力の判定基準の策定を行い,外国
人等を受け入れる者による外国人等の日本語能力の把握を
容易にし,

その普及・定着を図るなどの必要な施策を講ずる。

また,海外においては,学習者自らが日本語の習得段階を
把握できることは学習意欲を維持又は向上させる効果をも
たらし,

日本語教師が生徒の習得の進捗を確認する観点からも重要
である。

加えて,広く活用が進む外国語教育の参照枠を参考にして
海外における日本語教育においても

指導方法等を開発・普及させていくことは,日本語教育の
一層の推進に効果的である。

そのため,これらに資する措置を講ずる。

【具体的施策例】

・「ヨーロッパ言語共通参照枠(以下「CEFR」とい
う。)」を参考に,

日本語の習得段階に応じて求められる日本語教育の内容
・方法を明らかにし,外国人等が適切な評価を受けられ
るようにするため,

日本語教育に関わる全ての者が参照可能な日本語学習,
教授,評価のための枠組みである「日本語教育の参照枠」
を文化審議会国語分科会において検討・作成する。

・「日本語教育の参照枠」を踏まえ,「生活者としての外
国人」が日常生活を営む上で必要とされる生活上の行為
を日本語で行い,

言語・文化の相互尊重を前提としながら,日本語で意思
疎通を図り,自立した言語使用者として生活できるよう
支援するため,

「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準
的なカリキュラム案」(平成 22 年5月 19 日文化審
議会国語分科会)

について,文化審議会国語分科会において検証を行い,
その改定を行う。

・日本語教育を受ける者の日本語能力や目的に応じた効果
的かつ適切な教育が行われるよう,

JFを通じ,CEFRを参考にした日本語教育の参照枠
である「JF日本語教育スタンダード」の提供,

指導方法や教材(インターネット上の教材を含む。)の
開発及び普及等の取組を行う。

5 日本語能力の評価

外国人等の日本語能力を判定する方法として国内外で実施
されている様々な日本語能力を判定する試験においては,

個々の指標に基づき,レベルや判定基準等が設定されてい
る。

一方,日本語能力が求められる様々な分野における外国人
等の活動が拡大し,学習・教育内容や方法の多様化が進む
中,

外国人等の利便性を高め,また,外国人等を受け入れる者
による外国人等の日本語能力の把握を容易にするためにも,

各試験が判定する日本語能力についての共通の指標を整備
し,利用できるようにすることが必要となっている。

そのため,国内外で参照できる「日本語教育の参照枠」に
基づいた「日本語能力の判定基準」を策定するなどの必要
な施策を講ずる。

【具体的施策例】

・国内外で実施されている様々な試験と「日本語教育の参
照枠」との連関を示すための方法等を示した

「日本語能力の判定基準」を文化審議会国語分科会にお
いて検討・作成する。

・日本語を学習する外国人の日本語能力を適切に評価する
ため,

JFを通じ,現地事情を踏まえ各国・地域において「日
本語能力試験」(JLPT)を実施するとともに,

在留資格「特定技能」による外国人の円滑な受入れを実
現するため,

外国人材の受入れニーズ等を踏まえ「国際交流基金日本
語基礎テスト」(JFT-Basic)の実施を推進す
る。

=============================

「JF」とは、「国際交流基金」のことです。

ざっと見の印象としては、

「これは国際交流基金の関係者の方は大変だなぁ。」

ということ(笑)

ちなみに、「JF日本語教育スタンダード」については、
こちらのサイトで詳しく解説されています。

「JF日本語教育スタンダード」
https://bit.ly/3iBobSR

また、「国際交流基金日本語基礎テスト」(JFT-Basic)
については、こちらのサイトをご覧ください。

「国際交流基金日本語基礎テスト」(JFT-Basic)
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/

いずれにしても、こうした評価の枠組みが今後前面に出され、
そこから逆算してカリキュラムや教育コンテンツが構築され、
それに基づいて私たち日本語教師が教育活動をする。

そういう図式になるわけですね。

であれば、これら2つの評価の特徴やねらい、評価方法を
しっかり理解し、

自分ならこの評価に基づいてどのような教育ができるか、
思いを巡らせておくといいと思います。


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