コロナ終息後のリエントリーショックを見据えた授業運営を(その2)
前回からの続き。
コロナ禍によってオンライン授業が続き、
しかも、ネット上での課題提出やあらかじめ
用意した動画授業を学習者の好きな時間に
視聴できるオンデマンドが定着すると、
学習者も教師も、知らず知らずのうちに
そうした学習スタイルが定着してきます。
それ自体悪いことではないですし、こういう
状況ですので、ある程度致し方ないのは事実です。
ですが、コロナが終息し、元のフル対面式
授業に戻ったときに、
以前と同じような授業運営ができると思って
いるとしたら、そう簡単ではないということ、
そして、相応の対応が求められるということを
認識しておく必要があるでしょう。
まず、この数か月に学習者の生活にどのような
変化が起きているかを考えてみましょう。
これまでのように、時間割に沿った行動を
とる必要がなくなっているわけですから、
▼生活のリズムが崩れている
というのは、容易に想像できるでしょう。
それから、時間的に自由に勉強している
わけですから、
かつてのような長時間学習に耐える気力
や体力が低下している
ということも考えられます。
さらに、オンデマンドの動画授業というのは、
裏側で教師側がしっかり視聴履歴が取れる
仕組みを取っておらず、
視聴するかどうかを半ば学習者に丸投げして
いる状況であれば、間違いなく動画を最後まで
見ていません。
場合によっては、まったく見ていないということ
も普通にあり得ます。
つまり、
▼学習の習慣が崩れている
ということも考えられるわけです。
加えて、アルバイトが激減しているのであれば、
日本人とコミュニケーションをする機会もかなり
減っていると考えられ、
これまでのことから総合して、
▼日本語力がかなり低下している
ということも覚悟する必要があるでしょう。
なにより、巣ごもり生活が続き、人との接触自体
がかなり減っているため
▼対人ストレスを感じやすくなっている
ということも見逃せません。
こうした状況で、かつてのようなフル対面式授業
に戻ったらどうなるか。
▼生活のリズムが崩れている
→授業の遅刻、欠席が増える。
▼学習の習慣が崩れている
→授業中、すぐ注意散漫になる。
▼日本語力がかなり低下している
→カリキュラムの大幅な手直しが必要
▼対人ストレスを感じやすくなっている
→教室内の人間関係がぎくしゃくする
といったことが予想されます。
特に、4つめは学校教育でも「夏休み明けに自殺者が多い」
ということで、問題になっています。
昨年もこんな記事が。
若者自殺、夏休み明け最多 学校再開で精神的負担か:日本経済新聞社
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48845160S9A820C1CR0000/
ですが、こうした問題は何も学習者だけでは
ありません。
教師のほうも同様の問題が起こると考えられ
ます。
そりゃそうですよね。
教師だって、巣ごもり授業をしているわけです
から。
続きは次回に。