スクリプトスキーマの何たるかは、すべて天下一品ラーメンが教え てくれた。

「スクリプト」と言えば、多くの方は

「聴解教材の音声を文字化したもの」

を思い浮かべると思いますが、

「言語と心理」の分野では、

「互いに関連するスキーマを時間軸に沿って
並べた既有知識の塊」

つまり、既有知識の塊であるスキーマに
時間軸を加えたものを指して言います。

これも、検定試験にはちょこちょこ出題
されますので、覚えておくといいでしょう。

例えば、レストランで、

入　店
↓
注　文
↓
食　事
↓
支払い
↓
退　店

といった一連の流れに関する知識
などが、スクリプトに当たります。

日本で日本語を学ぶ学習者が、日本式の
スクリプトをわきまえていないと、

たとえ言葉は勉強していても、

次に何が起こるのか予測できないため、
なにかにつけ、あたふたあたふたしてしまい、

うまく対応できないということになってしまう。

だから、私たち日本語教師は、ただ単に
言葉を教えるだけではなく、

どういう流れの中で使えばいいかも合わせて
指導する必要があるわけです。

ところで、

皆さんは、天下一品ラーメンをご存知
でしょうか。

天下一品ラーメン
http://www.tenkaippin.co.jp/

実は、私は無類の天一ファン(^_^)

出張先に天一があれば、だいたい食べに
行きます。

あのドロドロ感がたまりませんし、
大学時代、仙台の天一でバイトしていたので。

で、以前セミナーで名古屋に出張した時、
宿泊先のホテルの近くに天一があったので、

喜び勇んで、夜食べに行ったわけですが、

入店するや否や、私は思わずたじろいで
しまいました。

なぜか。

私の中の天一は、すべからく食券制。

仙台の天一もそうですし、
歌舞伎町の天一も確かそうでしたし、
大阪難波の天一も確かそう（違ったかな？）

なので、私の頭の中には、

入　店
↓
食券購入
↓
勝手に着席
↓
不愛想な兄ちゃんが半券持っていく
↓
ラーメンをすする
↓
そそくさと退店

という、鉄板の天一スクリプトが
あったわけです。

ところが、名古屋店に食券機がない！

「あれ？あれ？どこ？」

と思っているところに、若いお姉さんが
やってきて、

「こちらへどうぞ。」

と声をかけてくる。

まるで、会社の上司に初めてスナックに
連れて行ってもらった新入社員のよう。
（そんな経験ないけど。）

つまり、名古屋店はフツーにオーダー制
だったんですね。

「ははー、ここはオーダー制なのか。」

ところが、その後、

福岡セミナーの時に立ち寄った
博多駅近くの天一もオーダー制なら、

大阪セミナーで、たまたま見つけた
江坂店もオーダー制ではありませんか！

結果、私の中には、

従来の食券制店対応の天一スクリプトに
加え、

オーダー制店対応の天一スクリプトが
新たに加わったわけです。

前者を「天一I（テンイチイチ）」とすると、
後者は「天一II（テンイチニ）」
（まるで、「謙譲語I」と「謙譲語II」。）

これにより、私の天一対応力はレベルアップした
となるわけです。

これは、日本在住の日本語学習者も同じことで、
スクリプトの知識があれば、

たとえ日本語力が不十分であっても、ある程度
ならうまく対応できるでしょう。

スクリプトって、結構大事なんですね。

検定試験受験予定の方、天一ラーメンではなく、
スクリプトスキーマを覚えてくださいね(笑)

念のため。