バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その13)

前回、皆さんに投げた問い。

「どうしたら、当時の検定試験受験者の悩みに
応えられるサービスを提供できるか、考えてみる。」

やってみましたか。

実は、この問いに対して

「そりゃ、どう考えても無理だ。」

と考えて匙を投げるか、

それとも、

「こうすれば、いいんじゃないか。」
「こう考えれば、いいんじゃないか。」

と、1つでも2つでもアイデアを出すかで
その後の人生がまったく変わってきます。

そもそも、「どう考えても」という人に限って
実は何にも考えていないことが本当に多いです。

そして、何より大事なことは、多くの人が

「そりゃ、どう考えても無理だ。」

と考えて匙を投げる事象の中にこそ、大きな
ビジネスチャンスがあるということです。

「検定試験に完全対応したeラーニングコースを
作ろう。」

そう思いたったとはいえ、

(1)検定試験の全出題範囲を網羅したeラーニングコー
スをたった一人で作るなど、できるわけがない。

(2)当時ICTスキルが驚くほど低い日本語教師相手に
eラーニングコースを用意しても使える人がいない。

一見、このプロジェクトはどう考えても無謀です。

実際、私の前にこのようなプロジェクトに取り組んだ
人間など、私の知る限り一人もいません。

ですが、困っている人は現にいるわけです。

さて、どうしたものか。

そこで、私は考え方を変えました。(←ここ、すごく大事)

(1)については、

「私に限らず誰しも「できない」と思うし、やろう
とも思わないだろう。

ましてや、大学教員が研究そっちのけで試験対策
教材など作ろうはずがない。

ということは、誰もこのプロジェクトをしようと
しないわけだから、これほど強烈な参入障壁はない。
競合は出ない。

であれば、時間がかかってもいいから、コンテンツ
を作り続け、全出題範囲を網羅した教材を作ったら、
その瞬間から唯一無二の存在になる。勝てる!」

(2)については、

「今はICTスキルが低くても、世代が移れば教師も
いずれデジタルネイティブになり、スキルが上がる。

であれば、どうせコンテンツ開発に時間がかかるわ
けだから、それを見越して今から作っていけばいい。

それまではeラーニングコースではなく、メール
でコンテンツを提供すればいい。できる!」

つまり、私は

【すぐには軌道に乗らないし、軌道に乗るまでかなり
時間がかかるが、

いつか必ず軌道に乗り、

軌道に乗り始めたら独壇場になるビジネスモデル】

を目指したのです。

そこで、検定試験の全出題範囲を、週3回(月水金)
のメールで1年間配信すると完全網羅するようにし、

そのために、検定試験の出題範囲を156のセクション
に分割、

1年目は、そのうちの1/3の講義資料の原稿をひたす
ら作成し、

2年目は、前年に作成した講義資料を週1で配信し
ながら、次の1/3の講義資料の原稿をひたすら作成し、

3年目は、過去2年に作成した講義資料を週2で配信
しながら、残り1/3の講義資料の原稿をひたすら作成。

そして、完成年である4年目には、週3配信で全講義
資料の内容をメールで配信しました。

結局、当初「一人では無理だ。」と思っていたことも
4か年計画で成就することができたのです。

この4年間、私以外に私と同じような取り組みを
始める人間は一人もいませんでした。

それどころか、日本語教育界でeラーニングに取り組む
研究者は当時ごく少数で、

多くは、

「授業は従来通り対面式でいいじゃないか。」
「eラーニングによって教師の職が奪われるのではないか。」
「eラーニングによる教育効果が明確ではない。」

など、懐疑的な意見が大勢を占めていました。

ですが、これは私にとっては好都合。
なぜなら、競合が生まれにくい風土だからです。

先ほど、大事なことは多くの人が

「そりゃ、どう考えても無理だ。」

と考えて匙を投げる事象の中にこそ、大きな
ビジネスチャンスがあると述べました。

多くの人が考えることは、確かに正しいこと
もありますが、常に正しいわけではありません。

特に、未来に対してはそうです。

また、多くの人が持つ考え方に従っていると、
リスクを回避できることもありますが、常に
そうとは限りません。

船丸ごと沈んでいることもあるのです。

大事なことは、自分の頭で考え、他人の意見に
振り回されず、

自分が描いたストーリーに沿って、コツコツと
やるべきことをやり続けるということなのです。

かくして、たった一人で始めた検定試験通信講
座は、

メール配信を始めた2年目の年商が47,880円。
(毎日2~3時間かけたので、時給は微々。)

その後、毎年売上を対前年比2.5倍から3倍弱の
ペースで増やし続け、

7年後には、本業の年収と肩を並べるまでに
なりました。

今では、どっちが本業かわからないくらい(笑)

おかげさまで、今は超零細企業ではありますが、

親企業に利益を吸い上げられることもなく、
競合との価格競争に巻き込まれることもなく、

機嫌よくビジネスを楽しんでいます(^_^)。

「人の行く 裏に道あり 華の山」

と言いますが、

人が背を向ける分野に果敢にチャレンジすることが
(もちろん、確かなストーリーを描いたうえで)

実は、堅固なビジネスをデザインするコツなのでは
ないかと思います。

本シリーズも、ずいぶん長く続きましたので、
ここで一旦筆をおくことにします。

続きは「篠研塾」で。(本当にするのかな(笑))


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