バブル期の新卒ブランドを捨て敢て茨の道を進んだ男の話(その8)
メルマガをサイトを、地味にコツコツ運営して
いたころ、
別府大学では、教育のICT化を進めようとして
いました。
そして、教員の何人かでプロジェクトチームを
作り、
当時、サイバー大学先進国だった韓国の提携校に
チームを派遣して、
eラーニング構築研修をする計画が持ち上がった
のです。
そして、そのメンバーの一員として、なんと私
篠崎に白羽の矢が当たったのです。
たしか3泊4日ぐらいだったと思いますが、朝から
晩までみっちり缶詰研修。
ここで、たくさんのことを学びました。
夜にコンテンツを作りながら、韓国人の先生方と
食べたジャージャー麺の味は今でも忘れられません。
その後、私は大学に帰り、日本語能力試験N1対策の
eラーニングコースの開発に没頭しました。
5~6年間、土日祝日休みなし。
休みといったら、盆の3日間と正月の3日間だけ。
あとは、朝9時から夜8時まで、大学業務のかたわら
ひたすらコンテンツ構築に、すべての時間と労力を
注ぎました。
まるで巌窟王。
開発には費用がかかりますから、科研費(国からの
研究助成金)や漢検の研究助成金を利用しました。
来る日も来る日も、ただひたすらに問題を作っては
それをMoodleという学習管理システムに埋め込んで
いく作業。
文法、聴解、読解、文字・語彙の4コースを作りましたが、
読解以外は、それぞれ問題数が約1,000問。
相当なボリュームです。
「これだけやって、能力試験に合格できないわけがない!」
もちろん、私一人ではできませんから、何人かスタッフ
を募って、分担してやりました。
「最後まで作りきる!」
と思って取り組んではいたものの、なかなか終わりが
見えない地道な作業の連続でした。
それだけに、その時のスタッフには本当に感謝して
います。
そうやって、5~6年の歳月をかけてようやく完成
したのが、このコースなのです。
WEBで学ぶ通信講座 「篠研の日本語能力試験N1対策」
https://www.kanjifumi.jp/jlpt-n1/
実際にこのeラーニングコースを使って大学で授業を
したところ、学習者が軒並みN1に合格していきました。
例えば、この学生。
ダンス!ダンス!ダンス!-日本語能力試験N1合格の瞬間11
https://youtu.be/pJurgCafoqk
この時はもう、私も涙が出るほど嬉しかったです。
コンテンツ開発に費やした6年間は無駄ではなかったと。
6年というと長く感じるかもしれませんが、振り返ると
あっという間です。
6年間、私はほとんど研究発表もせずにeラーニング開発に
没頭したわけですが、
その後、開発成果を何本も発表してブランク分をすぐに
獲り返すことができました。
私はこの経験から、計画は短期ではなく中期、中長期と
できるだけ長くとって取り組めば、
最初は不可能と思えることも、必ず成し遂げることがで
きる。
そして、より長期に取り組めば取り組むほど、投下した
時間や労力以上のリターンが得られる。
ということを学びました。
そう考えれば、1年や2年の失敗でくよくよしたり、
諦めたりすることほど、もったいないことはないと
私は思います。