『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む(その11)。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む
シリーズの11回目。
原典はこちら。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』
https://bit.ly/39LrGkw
今回は
「II 日本語教師の資格の概要」
のうちの
「2.日本語教師の資格制度の枠組み」
のうち今回は、
「【8】経過措置」
を見ていきます。
特に、すでに「有資格者」として現場で活躍
なさっている方や、
今まさに、420時間養成コースに通われている
方にとっては、
とても気になるところではないかと思います。
「もしかして、今の努力が無駄になるの?」
身につけた知識やスキルは決して裏切りません
から、必要以上に悲観的になる必要はありませ
ん。
とはいえ、具体的に政府はどの程度まで経過措
置を考えているのかについて知っておくことは
必要です。
では、さっそく読んでいきましょう。
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【8】経過措置
(「日本語教育機関の告示基準」に定められた
教員要件を満たす者の取扱い)
出入国在留管理庁が定める「日本語教育機関の告示
基準」第 1 条第 1 項第 13 号の教員要件を現に満
たす者の取扱いについては,
新たな資格となる公認日本語教師の要件を満たす者
として,十分な移行期間を設け,公認日本語教師と
して登録を行えるようにすることが適当である。
日本語教師を目指す人が進学や就職のために公認日
本語教師の資格取得に向けて準備できるよう,
十分な移行期間を確保することが必要である。
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<経過措置の対象となる「日本語教育機関の告示基
準」の教員要件を満たす者>
〔1〕日本語教育機関の告示基準(令和元年8月1日
一部改定)
第一条第一項第十三号 全ての教員が,次のいずれか
に該当する者であること。
イ 大学(短期大学を除く。以下この号において同じ。)
又は大学院において日本語教育に関する教育課程を履
修して所定の単位を修得し,かつ,当該大学を卒業し
又は当該大学院の課程を修了した者
ロ 大学又は大学院において日本語教育に関する科目の
単位を26単位以上修得し,かつ,当該大学を卒業し
又は当該大学院の課程を修了した者
ハ 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本
語教育能力検定試験に合格した者
ニ 学士の学位を有し,かつ,日本語教育に関する研修
であって適当と認められるものを420単位時間以上
受講し,これを修了した者
ホ その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力が
あると認められる者
※日本語教育機関の告示基準解釈指針
ホの「同等以上の能力があると認められる者」とは次に
掲げる者をいう。
(1)告示基準第1条第1項第13号イ,ロに相当する
海外の大学(短期大学を除く)又は大学院において日
本語教育に関する教育課程を履修し,所定の単位を修
得し,かつ,当該大学を卒業又は当該大学院を修了し
た者を指す。
その要件の確認は,告示基準第1条第1項第13号イ,
ロの解釈指針をそれぞれ準用するものとする。
(2)学士,修士又は博士の学位を有し,告示基準の公
表日から遡り3年以内の日において留学告示別表第1,
別表第2及び別表第3に掲げる日本語教育機関で日本
語教員として1年以上従事したことがあり,かつ,3
年を超えて留学告示別表第1,別表第2及び別表第3
に掲げられた日本語教育機関の教員の職を離れない者
で,そのことを日本語教育機関が発行する証明書等に
おいて確認できる者であること。
(3)学士,修士又は博士の学位を有し,かつ,大学
(短期大学を含む。)又は大学院において,26単位
以上の授業科目による日本語教員養成課程等を履修し,
当該課程等の単位を教育実習1単位以上含む26単位
以上修得(通信による教育の場合には,26単位以上
の授業科目のうち,6単位以上は面接授業等により修
得)している者であること。
その課程の要件の確認は,告示基準第1条第1項第1
3号ロの解釈指針を準用するものとする。
〔2〕その他
日本語教育機関の告示基準公表日(平成28年7月22
日)に以下の旧基準(日本語教育機関の運営に関する基
準)を満たしている者
11 日本語教育機関の教員は次の各号の一に該当するも
のとする。
一 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関す
る主専攻(日本語教育科目 45 単位以上)を修了し,卒
業した者
二 大学(短期大学を除く。)において日本語教育に関す
る科目を 26 単位以上修得し,卒業した者
三 日本語教育能力検定試験に合格した者
四 次のいずれかに該当する者で日本語教育に関し,専門
的な知識,能力等を有するもの
(1)学士の学位を有する者
(2)短期大学又は高等専門学校を卒業した後,2年以上
学校,専修学校,各種学校等(以下「学校等」とい
う。))において日本語に関する教育又は研究に関
する業務に従事した者
(3)専修学校の専門課程を修了した後,学校等において
日本語に関する教育又は研究に関する業務に従事し
た者であって,当該専門課程の修業年限と当該教育
に従事した期間と通算して4年以上となる者
(4)高等学校において教諭の経験のある者
五 その他これらの者と同等以上の能力があると認められる
者
※審査内規
基準11(教員の資格)第四号の「日本語教育に関し,専門
的な知識,能力等を有するもの」とは,学士の学位を有す
る者及び高等学校において教諭の経験のある者については,
学校,専修学校,各種学校等における日本語に関する教育
若しくは研究に関する業務に1年以上従事した者又は42
0時間以上日本語教育に関する研修を受講した者とする。
日本語の教員としての資格を満たさない者については,収
容定員に必要な教員数として認めないものとする。
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こうしてみてみると、従来のいわゆる【有資格者】
としての条件を満たしていれば、
公認日本語教師として認められるようです。
ホッとしましたね(^_^)
しかも、
「新たな資格となる公認日本語教師の要件を満たす者
として,十分な移行期間を設け,公認日本語教師と
して登録を行えるようにすることが適当である。」
とありますから、
▼今現在、420時間養成コースに通われている方
▼2~3年計画で検定試験合格を目指されている方
▼目下、大学で日本語教育学を学ばれている方
も、十分経過措置の対象となるでしょう。
国としても、日本語教師の確保にしっかり取り組ま
ないと、
総合的対策も多文化共生社会の実現も根底から
崩れてしまいかねません。
私は、日本語教師の未来は明るいと考えています。
ですが、それは
【十分な知識とスキルを持った日本語教師】
という条件付き。
決して日本語教師になれば、みんな安泰というもの
ではありません。
だからこそ、【日々成長】する仕組みを持つ
ことが大事なのです。
大事なのですよ!