『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む(その10)。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む
シリーズの10回目。
原典はこちら。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』
https://bit.ly/39LrGkw
今回は
「II 日本語教師の資格の概要」
のうちの
「2.日本語教師の資格制度の枠組み」
の後半です。
そのうち今回は、
「【4】資格取得要件 資格取得要件3:学士」
から
「【7】欠格事由」
までを見ていきます。
「【4】資格取得要件 資格取得要件3:学士」
は、要は大卒でなければダメだという話です。
中には、「え~!」という方もいらっしゃるでしょう。
ですが、学習者の学歴はどんどん上がっていきます。
学ぶ側の立場に立てば、自分より学歴の高い先生に
教えてもらいたいと思うのは自然な感情。
大卒は普通ですし、大学院卒も珍しくありません。
医者、弁護士、外交官、エグゼクティブ、実業家など
といった学習者に出会わないとも限りません。
そういうハイパーな学習者とパートナーシップを
張っていくためには、現実問題として学士ぐらいは
持っていないと相手にされません。
ですので、今ない方は、例えば放送大学や通信制大学
等を利用して、取得することをお勧めします。
それから、今回の範囲で特に注目したいのは
「【6】資格の有効期限」
です。
期限10年。
ということは、10年ごとに講習なり試験なりをすると
いうことです。
それだけに、【常に学び続ける姿勢】というのが
求められるわけですね。
勉強好きの私には、願ったりかなったりですが(^_^)
では、さっそく読んでいきましょう。
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資格取得要件3:学士
これからの時代,多様な国籍,背景,ニーズを
持つ外国人と向き合い,
対応できる日本語教師には幅広い教養と問題解
決能力が必要であることから,
学士以上の学位を有することを要件とすること
が適当である。
告示日本語教育機関に在籍する留学生の大半が
大学等の高等教育機関に進学を希望する者であ
ることから,
公認日本語教師の登録要件の一つとして,学士
以上を有することを加えることが適当である。
日本語教師が教育職として海外で活躍する上で,
国際標準の観点からも学士以上を有することが
適当である。
【5】試験実施及び登録の体制
資格要件となる試験であることから,試験実施
及び登録機関を定めることが適当である。
全国各地での日本語教育の試験の実施に関する
専門的な知見及び資格取得の要件を満たす者を
選定する
専門的な知見を有する機関を指定することが適
当である。
試験実施及び登録機関の指定に当たっては,安
定的な管理運営が可能となるよう要件を設けて
選定することが必要である。
試験の実施に当たっては,受験機会を確保する
ため,
受験回数,受験地域について検討が必要である。
また,オンラインによる受験については,今後
の検討課題とすることが適当である。
【6】資格の有効期限
日本語教師に求められる資質・能力の維持・向
上の観点から,
有効期限を設けることとし,その期限は10年
程度が適当である。
【7】欠格事由
欠格事由について定める必要がある。
その際,教育関係の資格の一般的な欠格事由を
参考とすることが適当である。
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こうしてつぶさに見てみると、先に挙げたもの
以外にも、重要な内容を含んでいることが分か
ります。
例えば、
「全国各地での日本語教育の試験の実施に関する
専門的な知見及び資格取得の要件を満たす者を
選定する
専門的な知見を有する機関を指定することが適
当である。」
「専門的知見を有する機関」とは、どこを指して
いるのか。
ちなみに、日本語教育能力検定試験を実施してい
るのは、
日本国際教育支援協会
http://www.jees.or.jp/
ですが、ここはもともと文化庁の親元である文部
科学省との結びつきが強い組織ですし、
今まで検定試験を実施してきたという実績があり
ます。
もしかしたら、ここが業務を引き継ぐかもしれま
せんね。
ただ、そうなると、日本語学校の認可業務を行っ
ている出入国在留管理庁(法務省)とのすり合わ
せが必要になってくるかなとも思います。
この辺り、どういった実施体制にするのか、注目
していきたいと思います。
そして、それ以上に皆さんが気になるであろうこ
とは、
「試験の実施に当たっては,受験機会を確保する
ため,
受験回数,受験地域について検討が必要である。」
という点。
わざわざ受験回数に触れるということは、今後
年に複数回開催される可能性が極めて大きいと
いうことを意味しています。
それだけ、国は日本語教師の確保に切迫感を
持っているんですね。
ネット受験も視野に入れているということですから、
とにかく教師を確保したいということなわけですが、
とはいえ、さすがに自宅で受験というわけにはいか
ないでしょう。
不正行為のチェックができないからです。
ですので、するとしても、現行のBJTビジネス日本語
テストのように、
会場に集めて、そこに用意されたPCを使って受験する
という形になるのではないかと思います。
このように考えてみると、やはり対策の立てやすい
今の試験体制のうちに合格を勝ち取っておいた方が
どうかんがえても得策。
今年の検定試験まで、あと236日。
もう、前回試験より130日近く過ぎているんですね。
「光陰矢の如し」
四の五の言わずに、1秒でも早く試験勉強に取り組む
ことが、
【絶対合格】のまさに【絶対条件】と言えるのです。