『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む(その5)。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』を読む
シリーズの5回目。
原典はこちら。
『日本語教育能力の判定に関する報告(案)』
https://bit.ly/39LrGkw
前々回お送りした
「I 養成研修体系の中における日本語教師の資格の
位置付け」
の、
「2.日本語教師の資格の位置付け」
の続きから、本セクションの最後までです。
ここでは、本資格の位置づけと、求められる資質・能力
について述べられています。
それでは、早速行きましょう。
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日本語教師の養成,初任・中堅の各段階で求められる
専門性は次のとおりである。
本資格は,前述のとおり,養成修了段階の日本語教師
を対象としており,下記の専門性を有することを示す
ものである。
https://gyazo.com/41339fa906e418e726cde2179bcf8618
日本語教師の養成終了段階に求められる資質・能力は,
知識・技能・態度に分類され,
次ページの表 1 のように示されている。
そして,これらの資質・能力を身に付けるために必要と
なる「日本語教師(養成)における教育内容」は,教育
実習を含む「必須の教育内容」として50の項目が示さ
れている。
https://gyazo.com/a2dcb16d747a060873f358e18b97e5a4
日本語教師の資格を検討するに当たっては,現行の法務
省出入国在留管理庁が告示をもって定める日本語教育機
関(以下,「告示日本語教育機関」という。)
の教員要件との接続を視野に考えることが必要である。
外国人留学生を受け入れることができる「告示日本語教育
機関」の教員要件は,「日本語教育機関の告示基準」の第
1 条第 1 項第 13 号に次のように定められている。
https://gyazo.com/d9a32e4aa909fe4835ed065a2044011c
現行,国内外の機関・団体が日本語教師を求める際の条件
として,同要件が援用されているという状況がある。
日本語教師の活動分野は,多様であるが,専門家としての
日本語教師の活動分野の例としては,次のようなものが考
えられる。
https://gyazo.com/4c7914e10a316c27a6b43cf5b370400f
日本語教師は,日本語教育者となった後も,活動分野や
段階に応じた研修を受講し,
初任・中堅・日本語教育コーディネーターのように自らの
専門性を高め,多様なキャリアパスを構築していくことが
求められている。
今回検討する日本語教師の資格は,これらの日本語教師の
キャリアパスの入口に立つ者の専門性を担保するものであ
り,
日本語教師の能力証明の第一歩となるものである。
なお,日本語教師は,日本語という言語教育の専門家であ
るだけでなく,
日本文化や日本の魅力を広く学習者に伝えていくとともに,
日本語を通じて多様な文化をつないでいくという魅力ある
職業である。
日本語教師の資格化に伴い,日本語教師の職業としての魅
力が社会により一層浸透していくことが期待される。
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このように見てみると、本資格が日本語教師としての
キャリア形成の入り口に位置していることや、
その後には、どのようなキャリアアップが待っているか
ということが分かるでしょう。
また、求められる資質・能力も大枠理解できます。
特に、今までは検定試験に代表されるように「知識」
に大きく偏ったものでしたが、
本資格では、「知識」に加え、「技能」「態度」にも
言及しています。
「技能」「態度」を高めるためには、ペーパーテスト
だけでは不十分。
やはり実習なり実地研修なりを盛り込む必要性がでてき
ます。
さらに、「日本語教育機関の告示基準」における教員要件。
(この基準は、日本語学校が対象。)
今後も日本語教員の資格を議論する上で、第13条は大きな
ベンチマークになると思いますし、
本資格で「公認日本語教師」ができれば、告示基準の教員
要件に、この資格が盛り込まれる可能性は非常に大きいと
思います。
さらに、最後の
<専門家としての日本語教師の活動の場の例>
を見ると、本資格の適用対象は日本語学校だけではなく、
例えば、自治体が運営する日本語教室や、大学等の養成
課程担当教員。
さらには、小中学校の外国人児童生徒指導担当の日本語教
員にまで広がる可能性があります。
そう考えると、今後、本資格を持った日本語教師の需要は
急速に増えるのではないかと思います。
今からしっかり準備をしておくといいでしょう。