色彩語の抽象的な意味に注目する。
通信講座「篠研の検定対策」講義資料
「No.189 社会文化能力」【基礎項目】
では、「色彩語」について述べています。
色彩語とは、色を表す語彙のこと。
過去に検定試験にも出題されたテーマですが、
日本語の授業、特に初中級の語彙指導で
このテーマを扱うと、
学習者となかなか面白いインタラクション
ができます。
古代、日本語の色彩語は「黒い」「白 い」
「青い」「赤い」の4つの語彙しかなかったと
言われています。
これは、 「-い」で終わる単純語レベルの色彩語が
この4つしかないことや
(例えば、 「黄色い」「茶色い」は「黄色」「茶色」
という語に無理やり「い」をつけたと考えられます。)
日本文化の大きな影響を与えた四象(青竜・朱雀・白虎
・玄武)もこの4色で表されることなどから考えると
ご理解いただけるで しょう。
さらに、これらの色彩語は単に色を表すだけでなく、
下のようにさまざまな抽象的・象徴的な意味を表します。
黒(い):「腹が黒い」「黒幕」→何か悪いことや人
白(い):「白い目で見る」「白を切る」
→冷ややかな/そっけない態度
「白星」→勝ち星
赤(い):「赤の他人」「真っ赤な嘘」→完全に~だ
青(い):「青年」「青二才」「青田買い」→未熟なさま
こうした色に対するイメージは、当然のことながら
文化ごとに異なっています。
従って、学習者には日本人が色に対して持つイメージや
抽象的意味を説明するとともに、
母文化との違いやその背後にある文化的な差異に気づく
よう指導することが大切です。
これがうまくかみ合うと、学習者と面白いインタラクション
ができるというわけですね。
機会があったら、授業でやってみてください(^_^)