「総合的対応策(改訂)」を読む(10)。
「総合的対応策(改訂)」を読む。
今回は、10回目。
「総合的対応策(改訂)」とは、下記報告書
を言います。
「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(改訂)」
http://www.moj.go.jp/content/001311603.pdf
今回は「II 施策」のうち、
「3 生活者としての外国人に対する支援」
の3回目。
「(3) 円滑なコミュニケーションの実現(日本語教育の充実)」
です。
タイトルからして注目したい内容ですね(^_^)
つべこべ言わずに、早速見ていきましょう。
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(3) 円滑なコミュニケーションの実現(日本語教育の充実)
【現状認識・課題】
外国人が我が国において生活していく中で、日本語能力が
不十分な場合、円滑な意思疎通が図れず、様々な場面にお
いて支障が生じ得る。
外国人を日本社会の一員として受け入れ、外国人が社会か
ら排除されること等のないようにするためには、
より円滑な意思疎通の実現に向け、いわゆる第二言語とし
ての日本語を習得できるようにすることが極めて重要であ
り、
そのような観点から、外国人に対する日本語教育の取組を
大幅に拡充し、外国人と円滑にコミュニケーションできる
環境を整備する必要がある。
【具体的施策】
○ 就労者も含めた地域で生活する外国人に対し生活に必
要な日本語教育を行うため、
その教育内容・方法の標準を定めた「『生活者としての外
国人』に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案」や、
これに準拠した「教材例集」等の周知や活用促進を更に実
施し、地域の日本語教育の水準向上を図る。
また、「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の
標準的なカリキュラム案」等を活用した、一定の水準を満
たした日本語の学習機会が外国人に行き渡ることを目指し、
地域住民との交流の場としての公民館等の公的施設の活用
にも留意しつつ、
「特定技能」の在留資格の創設等を踏まえ、地方公共団体
が関係機関等と有機的に連携し、日本語教育環境を強化す
るため、
国及び地方公共団体の総合的な体制づくり等、地域におけ
る日本語教育を推進するとともに、先進的な取組を行うN
PO等への支援を実施する。〔文部科学省〕《施策番号 80》
○ 日本語教室空白地域の解消のため、空白地域の地方公共
団体に対する教室開設のためのアドバイザー派遣等の支援
を行うとともに、
日本語教室の設置が困難な地域に住む外国人に対して、生
活場面に応じた日本語を自習できるICT教材(14 か国
語)を開発し、
開発できた言語から順次速やかに提供する。〔文部科学
省〕《施策番号 81》
○ 放送大学において、外国人向けの基礎的な日本語講座
のオンライン配信やアーカイブ放送を全国的に行い、日
本語学習の機会を提供する。
〔文部科学省〕《施策番号 82》
○ 我が国を訪れる外国人が日常生活、職場等で使用でき
る日本語を学習できるよう、
日本放送協会(NHK)が、提供する日本語教育コンテン
ツについて、対象言語の拡大や過去のコンテンツの有効利
用の促進、
ウェブサイトの充実等を進める。また、関係機関(在外公
館、地方公共団体、教育機関、関係省庁等)において、
必要に応じ当該コンテンツの利用拡大に向けて、我が国を
訪れる外国人やその受入れ企業等に対し周知を実施する。
〔総務省、経済産業省等関係省庁〕《施策番号 83》
○ 夜間中学は、義務教育を修了していない学齢経過者等
の義務教育を受ける機会を実質的に保障する公立学校であ
り、
平成 31 年4月現在、全国9都府県 27 市区に 33 校が設
置されている。
生徒の約8割は外国籍の者が占めており、本国や我が国に
おいて義務教育を十分に受けられなかった者にとって、
社会的・経済的自立に必要な知識・技能等を修得し得る教
育機関である。
このため、義務教育の段階における普通教育に相当する教
育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)や
第3期教育振興基本計画等に基づき、全ての都道府県や指
定都市に少なくとも一つの夜間中学が設置されるよう
新設準備に伴うニーズの把握や設置に向けた取組の支援、
地方公共団体向けの研修会の開催や広報活動の充実を通じ
てその促進を図る。
また、教員の日本語指導の資質向上、地域の日本語教室等
との連携や日本語教師、
日本語指導補助者等の外部人材の活用等を通じて夜間中学
の教育活動の充実等に向けた取組を進める。
〔文部科学省〕《施策番号 84》
○ 日本語の習得段階に応じて、求められる日本語教育の
内容及び方法を明らかにし、外国人が適切な日本語教育を
受けられ、評価できるようにするため、
「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」を参考にした
日本語教育の標準や、日本語能力の判定基準について検討
・作成する。〔文部科学省〕《施策番号 85》
○ 国内外で日本語学習者が増加する中、日本語教育を担
う人材の育成が急務となっていることから、
「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)
改定版」(平成 31 年3月文化審議会国語分科会)
を踏まえ、就労者等に対する日本語教師の養成・研修プロ
グラムの改善・充実・普及を一層図るとともに、
日本語教師の資質・能力を証明する新たな資格を整備する
こと等により、日本語教育全体の質の向上を図る。
〔文部科学省〕《施策番号 86》
○ 関係省庁・関係機関が連携して日本語教育を総合的に推
進していくための会議の開催や、日本語教育に関するポータ
ルサイト(NEWS)の運用等、
日本語教育の基盤的取組の更なる推進を図る。
〔文部科学省〕《施策番号 87》
○ 外国人労働者の就労場面における日本語コミュニケー
ション能力を定義し評価できるようにするため、
企業のニーズを把握した上で、日本国内で働くことに特化し
たツールを作成し、各企業が活用できる「ひな形」として提
供する。〔厚生労働省〕《施策番号 88》
○ 技能実習生が入国前講習、入国後講習、実習期間中等に
行う日本語学習として、実際の現場で使用する語彙や表現を
学ぶための e-learning 教材を開発、提供する。
〔厚生労働省〕《施策番号 89》
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端的に言うと、
「これまで開発したコンテンツを広く普及し、
足りないコンテンツは新たに開発する。」
といったところでしょうか。
そしてもう一つ注目したいのは、
「夜間中学の充実の促進」
です。
今後は、この夜間中学が生活者としての外国人に対する
日本語教育の大きな拠点になるのではないかと思います。
夜間中学の強化に自治体が大きく動いていきそうだと
感じるのは、私だけでしょうか。