「かばかり思考」に蝕まれているという前提に立って考えるべき。
昨日の続き。
「○○は、しょせんこれぐらいのレベルだろう。」
という考え方を、私は「かばかり思考」と呼び、
徒然草の一節を引用したわけですが、
そんな古の古典で触れられていながら、今なお
共感できるということは、
この「かばかり思考」はある種の自己防衛のための
人間の普遍的の思考の癖ではないかと思うわけです。
かくいう私も、「かばかり思考」に蝕まれている
という強い自覚があります。
気がつくと、
「○○は、しょせんこれぐらいのレベルだろう。」
とか、
「○○は、常識だ。」
とか。
例えば、学生と話している時、二言目には
そんな言葉が口をついて出てくるのです。
そしてある時、そんな狭い思考の折の中にいる
自分に、
「これじゃいかん。」
「これから日本語教師を目指す人に夢を提供する
仕事をしていながら、
『日本語教師は、しょせんこれぐらいの生活
レベルだろう。』
という考えと、実生活をしていてはダメだ。」
と思い、努めて自分の思考の枠を外そう、極力
外の世界に触れようと思い、
▼東京出張のたびに銀座の「ろくさん亭」で
ご飯を食べたり、
▼一食3万もする天ぷら定食を食べたり、
▼レクサスを買ったり、
▼ラグビーワールドカップで最前列の席で
観戦したり、
その他もろもろしてきました。
おかげさまで、思考の枠は以前に比べて
随分とれたという実感があります。
そんな中、最も印象的なのは、1時間13万円の
コンサルティングを受けた時です。
そのコンサルタントは、私と同い年。
しかも、共通の友人がいるということが
後でわかりました。
今まで3回受けたのですが、最初のコンサル
ティングが印象的でした。
初対面、彼はいきなり、
「篠崎さん、私のコンサル、バカ高いって
思いませんか?」
当時の私は、まだ事業が軌道に乗っていない
時で、1時間に13万円も出すというのは、
文字通り清水の舞台から飛び降りる思いでした。
(そりゃそうだよ。っていうか、値付けしたの
あなたでしょうが。)
と思わず思ってしまったのですが、彼は
次の瞬間、
「でもですね。篠崎さん、私のお客さんの中には
毎日銀座で数十万円使って遊ぶ方がいらっしゃって、
その方は、まるで喫茶店でコーヒー1杯飲む感覚で
私のコンサルを受けにいらっしゃるんです。
だから、自分の金銭感覚で考えたらダメなんですよ。」
コーヒー1杯の値段も、13万円も、その人にとっては
誤差の範囲というわけです。
これは、私にとっては衝撃的でした。
「世の中には、そんな金銭感覚の人間もいるんだ。」
思考の枠を外すとは、つまりこういうことなんだと
思いました。
そして、コンサルが終わった後、不思議と
「この内容で13万円は安い。」
と思ったのです。
これは、それまでの自分にはなかった金銭感覚です。
この経験から、自分は今まで無意識に膨大な「かばかり思考」
に蝕まれているのではないかと強く思ったと同時に、
それが今まで自己成長を阻んでいる要因ではないかと思った
のです。
そんな経験から、今の自分が社会に対してどんな貢献が
できるかと考えたときに、
これはきっと私だけではなく、
これから日本語教師を目指す方や現職の日本語
教師の方にもきっとこの「かばかり思考」があり、
その思考の枠を外して差し上げることが、私の使命で
はないかと思うようになり、
本メルマガやポッドキャストや各種セミナーや通信講座
を通じて、その枠を外すきっかけを提供できればと
日々活動しているわけです。
そうした私のささやかな経験から言えることは、
「自分はすでに「かばかり思考」に蝕まれている」
という前提に立って考えるべき。
そして、その思考の枠を超える努力を積極的に
自分から仕掛けていくべき。
と思うのです。
何かの参考になれば。