検定試験完全攻略法(6)-「語用論的転移」の鉄板事例。
「語用論的転移」
なんですか、それ?
そう思われる方もいらっしゃる
かもしれません。
語用論的転移とは、母語の影響
による誤用の一種で、
ざっくりいうと、
「ものの言い方にかかわる誤用」
を言います。
文法や語彙の使い方としては
間違っていない、
しかし、目標言語の母語話者は
そんな言い方をしない、
そういう誤用のことです。
平成23年度の検定試験にこのような問題が
出題されました。
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問3 英語から日本語への「語用論的転移」の例とし
て最も適当なものを、次の1~4の中から1つ選
べ。
1 「一緒にパーティーを投げませんか」と友人に言
う。
2 「図書館が締めないうちに本を借りてきます」と
友人に言う。
3 「約束の時間をchangeしていただけませんか」と
友人に言う。
4 「一緒に勉強したいですか」と友人に言う。
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皆さんは、どれが答えだと思われますか。
正解は4番。
もし、クラスの女の子から、
「私と一緒に勉強したいですか。」
などと言われたら、
即、
「この人、苦手なタイプ。」
と、わたしならシューーーッと
その場から消えていなくなります(笑)
ただ、英語を母語とする学習者の場合、
こういう言い方をしてしまう方が決して
少なくありません。
なぜなら、母語ではそういう言い方を
するから。
文法や語彙の使い方としては
間違っていない、
しかし、目標言語の母語話者は
そんな言い方をしない。
こういう誤用がまさに
「語用論的転移」
と言われているものなのです。
そして、それが検定試験に出題される場合の
鉄板ともいうべき典型的な事例が、
この英語母語話者による
「私と一緒に勉強したいですか。」
という言い方なんですね。
実は、鉄板事例はもう1つあります。
同じく英語母語話者による
「先生、私が作ったケーキ、食べたいですか。」
という言い方。
日本語母語話者であれば、さしずめ
「先生、私が作ったケーキですが、
おひとついかがですか。」
というべき場面。
とりわけ目上の相手に対して
「~たいですか。」
といった表現を使うのは、往々にして失礼。
ですが、英語ではこういう言い方もあるため、
英語母語話者は、
「先生、私が作ったケーキ、食べたいですか。」
といった誤用を犯してしまうんですね。
もし、こうした知識のない日本人が、
外国人からこういう言い方をされたら、
「なんて失礼な奴なんだ。」
と思うでしょう。
これは、学習者にとっても不本意なはず。
だからこそ、私たち日本語教師が事前に、
「日本語では、こういう言い方をするんですよ。」
と学習者に伝えてあげることが
とても有効なんですね。
もちろん、語用論的転移は他の言語圏学習者にも
それぞれ特有なものがあります。
検定対策的に言えば、英語母語話者の例にも
飽きてきた感がややあるので、
そろそろ他の言語圏の例も知っておいた方が
いいかもしれませんね(^_^)