「(僕の)ケーキはお姉ちゃんに食べられた!」は、なぜおかしい のか。
例えば、
「(僕は)お姉ちゃんに叩かれた!」
と言うことはできますが、
「(僕の)ケーキはお姉ちゃんに食べられた!」
と言うと随分おかしな日本語になってしまいます。
正しくは
「(僕は)お姉ちゃんにケーキを食べられた!」
でしょう。
「お姉ちゃんが僕を叩いた。」
「お姉ちゃんが僕のケーキを食べた。」
を同じように受身の文にしたのに、このような差が出てくるの
はなぜでしょうか。
「お姉ちゃんが僕を叩いた。」
は、「叩く」という動作が「お姉ちゃん」から「僕」に
直接及んでいますので、
「(僕は)お姉ちゃんに叩かれた!」
という直接受身文にすることができます。
一方、
「お姉ちゃんが僕のケーキを食べた。」
は、「食べる」という動作が「お姉ちゃん」から
(「僕」ではなく)「ケーキ」に及んでおり、
それが間接的に「ケーキ」の持ち主である「僕」
への被害につながったという文であるため、
直接受身文の作り方で変形するとおかしな文に
なってしまうのです。
この場合は間接受身文、特に「持ち主の受け身」
と呼ばれる受け身文にしなければなりません。
つまり、
「(僕は)お姉ちゃんにケーキを食べられた!」
と。
この「持ち主の受け身」は間接受身文の中でも
特殊なパターンと言われています。
なぜなら、間接受身文でありながら対応する能動文が
あること、
さらに、主語に無生物を取らないという原則から、
受身文の作り方が通常と異なるからです。
授業をしていると、
「(僕の)ケーキはお姉ちゃんに食べられた!」
のような文をつくる学習者に遭遇することがあります。
そのような時、適切に指導するためにも、こうした
受け身のシステムを教師はしっかり把握しておく
ことが大切なんですね。
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