学習者はなぜ作文で「~ですよ」を使うのか。
「篠研」スタッフとの会話でこんな話が出ました。
「わたしは作文のクラスを担当しているんですが、
学習者に作文を書かせると、必ずと言っていい
ほど皆が「~ですよ」という表現を使うんですね。
わたしは授業で作文では
「作文では『~ですよ』を使ってはダメですよ。」
と口酸っぱく指導しているんですが、
でも実際に書かせると、どういうわけか
「~ですよ」
という言い方がよく出てくるんです。
どうしてかと思って家に帰って家族と話していた
ところ、娘から、
「それはお母さんが授業で『~ですよ』ってよく
使ってるからじゃないの?」
と言われ、
「なるほど、そういえば。。。」
と納得。
確かに指導するときも
「『~ですよ』は使っちゃダメですよ。」
と言ってますから(笑)、
恐らくそういった私の言い方が学習者の耳について、
文を書くときに思わず
「~ですよ」
という言い方が出てくるんじゃないかと思います。」
なるほど!!
つまりは、教師のティーチャートークが学習者の
言語習得に影響を与えているということですね。
この話を聞いて、私もかつて韓国のサムソンの
中堅幹部社員に日本語を教えていたときのことを
思い出しました。
彼らのほとんどは30代~40代の男性です。
年齢から言って、すでに兵役も終わっており、
見た目も性格も男らしい人が多かったわけですが、
何人かの学習者の口ぶりが、
「どうも女性っぽいなあ。」
と思わせることがありました。
よくよく考えてみると、そのクラスの担当教師は
私以外みんな女性だったんですね。
つまり女性教師の口癖や言い方が、自然と学習者に
移っていたというわけです。
学習者は、私たちが考える以上に教師の一挙一動に
敏感に反応し、それを吸収していきます。
その結果、良し悪しにかかわらず、さまざまな日本語を
身につけていくわけですね。
通信講座「篠研の検定対策」の講義資料
「教室・言語環境の設定」
でもティーチャー・トークを扱っていますが、
改めてその影響力の強さを認識した次第。
であれば、学習者の誤用の原因を考える際に、
普段の私たちの教室内での話し方、ティーチャー・トークが
どのようになっているのか振り返る
ということは、とても重要なことではないでしょうか。