「みんなの日本語」から「あなたの日本語」へ(番外編)。
3回にわたってお送りした本シリーズ。
かなりのインパクトがあったようで、
読者の方から以下のようなお便りを
頂戴いたしました。
今回は、このお便りにご回答しますね。
ご質問を頂いたI.K様、ありがとうございました。
以下。
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篠崎先生
いつもさまざまな情報を提供してくださり、
ありがとうございます。
この3日連続のメールの内容は特に興味深く拝読
しました。
ただ、「ビジネスパーソンに対する日本語教育」、
「ビジネス日本語教育を行う上での留意点」
などと聞きますと、
やはり前提として自身がビジネスパーソンとしての
経験がなければ無理だろうと感じます。
例えば、私などはかなり昔に会社員として働いた
ことはありますが、
当時の「若い」「女性」の例に漏れず、わずか数年、
しかも仕事内容は大変限定的なものでした。
日本語教師や検定試験受験者の構成を見たところ、
このような人の割合は多そうな気がします。
もちろん、何事も意欲さえあれば道は通じるという
面はあると思いますが、
「ビジネス日本語」を教える人にそもそも自分は
含まれていないのでは、と感じてしまうことも
否定できません。
そのあたりのことももう少しお話しいただけると、
セミナー参加を考えることにつながりますので、
よろしくお願いします。
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なるほど。
まず、前提として申し上げたいのは、
私自身、起業するまでビジネス経験は
【まったくのゼロ】
だということです。
大学院卒業後、民間の日本語学校に就職し、
3年後、今の大学に移りました。
そして、いまに至っています。
昨年の12月に起業してから、慌てて
会計士さんのご指導の下、
会計の仕組みやら、損益計算書の見方やら、
貸借対照表の見方やら、
そもそも、企業ってどういう仕組みなのか
というそもそも論的なところまで、
勉強している最中です。
(といっても、かなりマイペースですが。)
それでも、ビジネスパーソンに対する
日本語教育はできると考えています。
なぜなら、私たちが学習者に提供するのは
ビジネスのノウハウではなく、あくまでも
【日本語】だからです。
そもそも、【ビジネス】と一言で言っても
業種業態は多岐にわたります。
それを、私たち日本語教師が事前に網羅する
ことなど、到底できません。
では、どうしたらいいのか。
それは、学習者に聞いて、学習者に説明
させればいいのです。
例えば、
「へえ、不動産の仕事ってどんな仕事なんですか。」
とか、
「職場では、誰とどんな話を日本語ですることが
ありますか。」
とか。
そうやって、どんどん質問して学習者に説明
させるのです。
そしたら、必ず日本語に詰まるシーン
(=言語的挫折)が出てくる。
そこで、適切な表現を提供すればいいのです。
そうやって、学習者に日本語を提供しながら、
学習者からビジネス情報を仕入れていけば
いいのです。
私たち日本語教師が、ビジネスに精通する必要は
ないのです。
ただ、とはいえ、根本的なビジネスマインドの
部分は理解しておいた方がいい。
そのための情報源はもっておいた方がいい。
私が皆さんにお勧めする無料の情報源は
以下の2つ。
これは本当にお勧めなので、ビジネス日本語に
関心のある方は、ぜひ登録してくださいね。
まず1つは、こちらのビジネス系メルマガ。
メルマガ「鮒谷 周史(平成進化論)」
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=JqOIRnMsgbw
もう1つは、こちらのビジネス系podcast
石原明の経営のヒント+
https://podcastranking.jp/1535366254
それから、もう1つ申し上げたいのは、
「やはり前提として自身がビジネスパーソンとしての
経験がなければ無理だろうと感じます。」
とおっしゃる時点で、すでに前回申し上げた
【閉じた系日本語教師】
ではないか、ということです。
無理かどうか、できるかどうかは、とにかく
その世界に一度入ってみなければわかりません。
一度もその世界を見ることなしに、合う合わない
を言っても、単なる想像の域の話でしかありません。
だから、まずは一度その世界を見てみるということが
とても大切なのです。
合う合わないは、その後に考えればいい。
例えば、私もこれまで
▼外国人児童生徒に対する日本語教育セミナー
▼技能実習生に対する日本語教育セミナー
▼発達障害を持つ外国人児童生徒に対する日本語
教育セミナー
▼ビジネスパーソンに対する日本語教育セミナー
▼日本語学校生に対する日本語教育セミナー
▼特定の国・地域の学習者に対する日本語教育セミナー
など、いろいろと参加していきました。
それは、別にその分野に人生を投じようという
わけではなく、
ただ純粋にその世界を見てみたいという好奇心
からです。
そして、その世界を見た上で、その世界との
関わり方やその度合いを考えます。
もちろん中には、
「こりゃ、全然合わない。」
というのもあります。
ですが、そう思えるのもその世界を見たから。
だから、それなりに根拠のある判断ができるの
です。
なにより、さまざまな世界を見ることによって
日本語教育をより高い位置から俯瞰的に見たり
考えたりする視座を得ることができます。
これは、キャリアが上がれば上がるほど
大事な視点です。
そういう意味で、
【開いた系日本語教師】
というスタンスを保つというのは、とても
大事なんですね。
というわけで、
よろしかったら、怖いもの見たさでご参加なさって
みてはいかがでしょうか(。。。なんて(笑))
篠研企画 工藤尚美セミナー
「ビジネス日本語教育を行う上での留意点
-ビジネス日本語教育を始める前に知っておくべきこと-」
東京会場 :https://www.kanjifumi.jp/kudo_seminar/
福岡・大阪会場:https://www.kanjifumi.jp/kudo_seminar2/