ナ行、ダ行、ラ行がうまく言えない学習者に対する効果的な指導法。

ナ行、ダ行、ラ行がうまく言い分けられない誤用は、
中国、韓国、ベトナムの学習者、

さらに英語圏の学習者にも広くみられます。

 

かつて私もベトナム人学習者に

「旦那とラクダがだらだら並んだ。」

を発音させると、どうしても

「ナンナトナクナナナラナラナナンダ。」

となってしまい、苦労したことがありました。

 

これらの音は、日本人にとっては全く異なる
音ですが、

音声的特徴を比べてみると、非常によく似た
音であることがわかります。

ナ行:有声歯茎鼻音
ダ行:有声歯茎破裂音
ラ行:有声歯茎はじき音

従って、これら調音法の特徴をより強く出す
ような練習をすることが指導上のポイント
ということになります。

 

ナ行をダ行に言い間違う誤用はあまり見られ
ませんが、ラ行で言ってしまう誤用は見られ
ます。

 

これはナ行を発音する際、舌先の歯茎に付く
時間が短く、

あたかも舌先が歯茎を弾くようになってしまう
ためにラ行音に聞こえるのが原因です。

 

従って、例えば先の「旦那」を「ダンラ」と
言ってしまう場合は、

まず「ダンー」と[n]を伸ばして発音しながら
舌先をしっかり歯茎に付けていることを確認し、

それから「ダンーナ」の「ンー」を少しずつ
短くしていって「ダンナ」にもっていくといい
でしょう。

 

ダ行をナ行に言い間違う誤用は、本来口から
出すべき呼気が鼻から出てしまうのが原因です。

 

従って、例えば先の「ラクダ」が「ラクナ」と
言ってしまう場合は、

鼻を指でつまんだ状態で口から呼気を出すように
「ラクダ」を発音する練習が効果的です。

 

また、ダ行音をラ行に言い間違う誤用は、
舌先による呼気の閉鎖が不十分であるのが
原因です。

 

従って、例えば先の「ラクダ」を「ラクラ」と
言ってしまう場合は、

舌先を強く歯茎に押しつけながら[d]や[da]を
発音した後、「ラクダ」と発音するといいで
しょう。

 

ラ行がナ行に言い間違う誤用は、舌先の弾きが
遅いために呼気が鼻から抜けてしまうのが原因
です。

 

従って、鼻をつまんで「ララララ…」と速く発音
する練習が効果的です。

 

また、ラ行がダ行に言い間違う誤用も、舌先の
弾きが遅いことが原因です。

 

従って、この場合は鼻をつままずに「ララララ…」
と速く発音する練習が効果的です。

 

音声の指導は、ひと工夫が必要です。

 

ただ、正しい音を何回も聞かせ、
それに合わせて繰り返し言わせても、

それだけで上手になるわけではありません。

 

なぜなら、そもそも学習者の耳と発声器官は
彼らの母語の発音用にカスタマイズされた
ものであり、

従って、日本語の子音を聞かされても、
日本人と同じような音の認識をにわかに
できるわけではありませんし、

ましてや、発声するにも母語とは違う筋肉の
動かし方など急にはできないからです。

 

たとえて言えば、

テニスの選手が卓球に挑むようなもの。

 

「どちらも似たようなルールで、
同じ1対1の球技でしょ。」

と思ったら大間違いで、

両者は、基本動作も違えば、使う筋肉も
違うし、戦術も駆け引きのし方も違うわけ
です。

 

だからこそ、指導に当たっては、

確固たる音声学的理論に裏付けられた
かつ学習者でも理解しやすい簡便な方法で、
指導することが重要なのです。

 

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では、

こうした理論にもとづいた音声指導の具体的方法を
紹介します。

 

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