結局どの教授法が一番?-各教授法の長所・短所を整理する。
検定試験の勉強をしていると、
実にさまざまな教授法に出会います。
古くは、文法訳読法。
それから、思いつくままにあげてみますと、
ナチュラル・メソッド
ASTP
オーディオ・リンガル・アプローチ
コミュニカティブ・アプローチ
ナチュラル・アプローチ
認知学習論
サイレント・ウェイ
サジェストペディア
TPR
CL/CLL
GDM
VT法
OPI
内容重視の教授法(CBI)
CLIL
さらには、
ピア・ラーニング
状況的学習論
などというのもありますね。
この辺りの詳しい話は、
【通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
http://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/
の講義資料
No.048 語学教授法の変遷
No.049 さまざまな教授法(1)
No.050 さまざまな教授法(2)
No.051 さまざまな教授法(3)
をご覧いただくとよろしいかと。
で、中には、
「結局、どの教授法が一番いいんですか。」
と思われる方も多いと思います。
また、検定対策向けの参考書などを見てみますと、
「Aという教授法に対する批判が高まったことから、
それにとって代わるものとしてBという教授法が
生み出された。」
というような書き方のものもあるので、
「結局、一番新しい教授法がベストってこと?」
という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、結論から言うと、
「絶対的に一番いい教授法など、存在しない。」
というのが正解です。
どの教授法も、言語力のどの部分を伸ばそうと
したものか異なりますし、
学習者のニーズやレディネス、学習目標、学習内容、
言語学習観、学習適性、教師のビリーフなどなど、
さまざまな要素を検討しながら、ベースの教授法を
検討しなければなりません。
また、同じ学習者に対してであっても、
文型導入は、オーディオ・リンガル的に
会話練習は、コミュニカティブ・アプローチ的に、
と、同じクラス内でも指導項目によって採用する
教授法を変えていく必要もあるのです。
例えば、
「日本語の文献の解読のために日本語を学びたい。
会話力はいらない。とにかく、読む力をつけたい。」
というニーズを持つ海外の学習者に対してであれば、
「文法訳読法」
がベストの教授法かもしれないのです。
そもそも、研究者というのは、どうしても
前例を批判したうえで、自説の正当性を主張
するということが多いので、
どうしても、
「Aという教授法に対する批判が高まったことから、
それにとって代わるものとしてBという教授法が
生み出された。」
という論調になりがちなのですね。
(なので、この辺の言い方は、話半分ぐらいに
受け取るぐらいがちょうどいいです。)
では、私たちは、さまざまな教授法や教授理論に
どう接すればいいのでしょうか。
まずは、各教授法自体に優劣はないということを
認識したうえで、
それぞれの教授法の長所・短所を整理すること。
そして、各教授法の長所を自分の授業の中に
取り入れるにはどうすればいいかを考えるとともに、
短所を最小限にするにはどうしたらいいか、
授業の仕方を工夫すること。
にあると言えます。
つまり、
「自分の授業の引き出しを増やす意味で、いろいろな
教授法やそこから生み出された指導スキルを知って
おくのは、とても重要。」
ということになるわけですね。
少なくとも、
「文法訳読法は、今や古臭い廃れた教授法」
「オーディオリンガルアプローチは、コミュニカティブ・
アプローチより劣っている。」
という論調に惑わされないようにしてくださいね。