動詞「寝かす」が動詞の使役の形ではないことをどう説明するか。
「先生、『寝かす』は動詞の使役の形ですか。」
学習者からこのような質問を受けたとき、
皆さんなら、どう答えますか。
もしかしたら、日本人でも使役の形と言って
いいのかどうか、
迷ってしまうかもしれませんね。
結論から言うと、「寝かす」は動詞の使役の形
ではなく、動詞「寝かす」の辞書形です。
使役の形かどうか迷う動詞は、他にも「起こす」
があります。
では、動詞「寝かす」が動詞の使役の形ではない
ことを、学習者にどう説明したらいいでしょうか。
この場合、使役の形の作り方のルールに一度
立ち返って考えることが重要です。
使役には、長形と短形という2種類の形があります。
五段動詞の場合、長形は語幹に「aseru」をつけます。
例:「kak-aseru」(書かせる)
短形は語幹に「asu」をつけます。
例:「kak-asu」(書かす)
一段動詞の場合、長形は語幹に「saseru」をつけます。
例:「oki-saseru」(起きさせる)
短形は語幹に「sasu」をつけます。
例:「oki-sasu」(起きさす)
ここで1つ大事なポイントは、
動詞をアルファベット表記する
という点。
これにより、動詞の形態(=活用)の
ありようがはっきりわかります。
そこで、あらためて「寝かす」について見てみると、
「寝かす(=nekasu)」
もし、これが何か他の動詞の使役の形である
とすると、
「asu」が抽出されますから、五段動詞の
短形ということになり、
語幹と活用語尾の間に「-」を入れて表記すると、
「nek-asu」
となります。
これを辞書形に戻すには、「asu」をとって
かわりに「u」をつければいい。
で、やってみると、
「nek-u」
neku??????
こんな動詞は、
なーーーーーーーーーーーーい!!!(笑)
というわけで、動詞「寝かす」は
動詞の使役の形ではなく、
動詞「寝かす」の辞書形
ということができるわけなんですね。
学習者に説明する際も、
上記のように一旦使役の形の作り方を
確認したうえで、
そのルールにあてはまるかどうか
学習者といっしょに検討してみると
いいでしょう。