学習内容を「自分」にリンクさせる。
日本語の学習を、学習者自ら進んで行うように
活動をデザインする1つのコツとして、
「学習内容を『自分』にリンクさせる。」
というのがあります。
つまり、学習内容がそのまま自己理解や
自己表現につながるようにするということです。
人は皆、世界で一番「自分」が好きです。
だから、そんな自分に関わることであれば
無条件に興味を示します。
例えば、上級の読解活動。
中には、読解の授業になった途端に
テンションの下がる学習者もいます。
ただでさえ漢字が苦手なのに、
容赦ないほどの文字量。
ですが、そんな上級学習者に
「あなたの性格を心理学的に教えてくれる
サイトがあるけど見てみる?」
といって、こんなサイトを紹介したら
どうなるでしょうか。
エゴグラムによる性格診断
http://www.egogram-f.jp/seikaku/
エゴグラムとは、心理学の分野で開発された
性格診断法で、50の質問に答えると、
性格診断の結果が出るというものです。
50の質問を読んで答えるのも
いい読解の練習になりますし、
診断結果も、結構長い文章です。
未習の語彙や文型も当然含まれています。
ですが、学習者はのめり込むように読みます。
自分のことについて書いてあるからです。
私も授業で何回か紹介しましたが、
ほとんどの学習者が未習語彙にめげることなく
食い入るように読んでいました。
この他、初級の非漢字圏学習者に対する
漢字学習であれば、
「自分の名前を漢字で表現してみよう。」
といったタスクをしてみるのも効果的です。
漢字を通して自己表現ができるからです。
このタスクだと、漢字を調べるスキルが
ごく自然に身につきますし、
漢字1つ1つが持つ意味やイメージに対する
理解も深めることができます。
自分の名前に選んだ漢字に愛着も沸くでしょう。
それだけでも、漢字学習に対する抵抗感が
かなり下がると思います。
「学習内容を『自分』にリンクさせる。」
こんな要素をちょっと加えるだけで、
学習者は一気に生き生きしてきます。
お試しください。