音声教育の重要性を考える。
「きれいな発音で日本語を話したい。」
これは、学習者であれば誰しも思う
ことです。
裏を返せば、それだけ自分の発音に
コンプレックスを持っている学習者が
多いということでもあります。
そうした学習者に対して、私たち日本語
教師が適切に指導し、
彼らの発音の癖をうまく直してあげることが
できれば、
どれだけ学習者に喜ばれ、彼らの自信に
つながることでしょうか。
日本語の発音に苦手意識を持っている
学習者は少なくありません。
かつて私が大学院生だった頃、
韓国のサムソン電子の幹部社員に
日本語を教えたことがあります。
韓国サムソン電子の幹部社員といえば
韓国でもかなりのエリート。
しかも、男性はみな私より年上で
体格もいい(兵役義務がありますから)。
笑顔でも、それとなく威圧感というか
風格のようなものを感じます。
当然、プライドも高い。
なのに、「靴下」を言わせると、どうしても
「くちゅした」
になってしまう。
「全然」が「じぇんじぇん」になってしまう。
これでは、相手に与える印象がまったく
違ってきます。
「こんな発音のままビジネスの現場で日本人と
交渉でもしたら、間違いなく嫌な思いをする
に違いない。」
その時、私は音声教育の重要性というものを
強く感じました。
にもかかわらず、音声指導は日本語教育能力
検定試験でもほとんど出題されておらず、
また、日本語教師を対象とした研修でも音声
指導はあまり扱われていないのが現状です。
まさに、音声指導は日本語教育における1つの
アキレス腱と言えるのです。
事実、院生だった頃の私は効果的な指導法など
知るはずもなく、
ただただ正しい音声を復唱させるだけでした。
あれから20年。
自分なりにいろいろ工夫したり、書籍を読んで
勉強したりしたことを、
「音声指導の基本と具体的指導法
-その場でできる!発音がよくなる!-」
https://www.kanjifumi.jp/onseisidou/
で、お話しさせていただくことにした次第。
かつての私のような思いをしないためにも、
現場教師は音声指導スキルを意識的に身に
つけ、
積極的に授業に取り入れる姿勢が必要だと
思うのです。
音声教育の重要性を、今一度考えてみてはいかがでしょうか。