フレンドリーであってフレンドではない。-学習者との関係性。
「学習者とどういう関係性を築いたらいいのか。」
そういう悩みを持っていらっしゃる方、
少なくないのではないでしょうか。
「できるだけ親しく接したい。
しかし、そうすると学習者の教師に対する期待値や
要望がどんどん大きくなって、
最後には、それを抱えきれなくなってしまう。」
実際、学習者にできるだけ優しく接し続けた結果、
言葉は悪いですが、学習者にナメられ、
教師の言うことを聞かなくなってしまった、
という方もいらっしゃるかもしれません。
一度崩れてしまった関係性を修復するのは
本当に大変です。
私の場合、親しく接しはしながらも、
言うべき時にしっかり言えるように
一定の距離感を保つようにしています。
ところで、以前こんな本を読みました。
澤井陽介『学級経営は「問い」が9割』東洋館出版
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澤井陽介氏は、
昭和59年から都内で小学校教諭、
平成12年から都立多摩教育研究所、
八王子市教育委員会で指導主事、
町田市教育委員会で統括指導主事、
教育政策担当副参事を経て、
平成21年より
文部科学省初等中等教育局 教科調査官
国立教育政策研究所 教育課程調査官
を務める、学校教育のスペシャリストです。
こちらのp.34以降に、
教師には「たかが子供」という意識を持つことが
重要であり、
自分に自信のない教師、子供におもねる教師は、
この「たかが子供」という意識を持てないために
子供の中に教師と対等という意識を芽生えさせて
しまうとしたうえで、以下のように述べています。
========ここから==============
子供と同じ目線に立つことが大切です。そうでなければ、
子供の気持ち、思いを尊重することができません。しかし
子供と同じ立場にたってはなりません。同じ目線に立つと
いうのは、子供が見ている風景を教師なりに見るというこ
とであって、教師と児童という立場の関係性を対等にする
ものではないのです。(p.36)
========ここまで==============
日本語教育の分野でも学習者と対等な立場に立つことを
よしとする教師はたくさんいます。
もちろん、そうした主張を否定するつもりはありません。
ただ、私としては非常に強い違和感を覚えます。
なぜなら、教師と学習者はそもそも立場が違うからこそ
成り立つ関係性だからです。
もし、対等な立場を志向するのであれば、
「教師と学習者」
という関係ではなく、
「知り合い同士」
という関係で接すればいいのです。
ただし、その場合、少なくとも学習者から授業料を
取ってはいけない。
なぜなら、対等に教え教わる関係だからです。
澤井氏は、さらに以下のように述べています。
=======ここから==============
兄弟でも親子でもなければ、友達でもない。遊ぶときは
一緒に遊び、フレンドリーにはなるけれども、フレンド
にはならないという関係性です。
子供といい関係を築くためにも、「私は教師、きみは
子供、その関係は忘れるなよ」と常日頃から示し続ける
ことが大切です。とくに若い先生方は肝に銘じたほうが
よいでしょう。(p.37)
=======ここまで==============
「俺は教師だ!」
と、肩ひじ張る必要はありませんが、
一定の節度をもって接するというのは
お互いにとって大事なことだと思います。