検定試験の過去問ほど授業ネタの宝庫は他にない。
何度も言いますが、
検定試験の過去問は、授業ネタの宝庫です!
検定試験の過去問は、注意すべき日本語や
多種多様な指導方法の手順や指導上のポイントを
問題形式で解説している、
市販の書籍上最もクオリティが高い専門書です。
ですので、
「指導の引き出しをなかなか増やせなくて、悩んでいる。」
「授業の組み立て方やポイントがわからない。」
という方は、試験を受ける受けないに関わらず
過去問をじっくり読まれるといいでしょう。
例えば、平成28年度 試験III 問題1 問4の選択肢2。
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2 「くれる」の待遇形式「くださる」の命令形は、「ください」と
いう不規則な活用形になっている。
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意味が分かりますでしょうか。
まず、「くださる」は五段動詞ですので、五段動詞の
命令形の作り方を、「書く」を例にとって確認してみると、
(「・」は語幹と活用語尾の境目を表します。)
書く(kak・u) → 書け(kak・e)
つまり、活用語尾を取って「e」をつけるというのが
命令形をつくるパターンなわけです。
これと同様のことを「くださる」に当てはめてみると、
くださる(kudasar・u) → くだされ(kudasar・e)
となります。
ですが、日本昔話ではあるまいし(笑)、今どき
「くだされ」なんて使わないですよね。
今は、専ら「ください」を使うわけです。
「不規則な活用形になっている。」とは、そういう
ことなんですね。
もちろん、「くだされ」と「ください」であれば、
学習者は圧倒的に「ください」のほうに馴染みが
あると思いますが、
例えば、読解教材の新出語彙に「くださる」が
出てきた時に、
「では、この五段動詞『くださる』の命令形は?」
と、改めて学習者に聞いてみると、もしかしたら
すぐに「ください」が出てこないかもしれませんし、
理屈重視で学習しているまじめな学習者であれば
あるほど、
「くだされ」
と答えてしまう可能性もあるわけです。
また、多読教材などで昔話を読んで、その中に
「くだされ」が出てきたとき、中には、
「これ何???」
と思う学習者もいるかもしれません。
その時、教師が然るべき説明をすれば、学習者も
「なるほど。」と納得してくれるでしょう。
小さいことかもしれませんが、特に語彙指導では、
こうした小ネタをどれだけ多く持っているかが、
授業の広がりを左右します。
そういった小ネタも、検定試験では問題形式という形で
たくさん紹介されているわけですね。
検定試験問題を、受験勉強のときしか見ないというのは
本当にもったいないことだと思います。